愛知県一宮市木曽川町の市道で、妊娠9カ月だった研谷(とぎたに)沙也香さん=当時(31)=を車ではねて死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪に問われた児野尚子被告(50)の公判が22日、名古屋地裁一宮支部で開かれた。検察側は「結果は重大だ」として禁錮3年を求刑し、弁護側は寛大な刑を求めて結審した。判決は6月18日に言い渡される。
検察「故意に匹敵するほど重大で悪質」
検察側は論告で、被告が9秒間道路を斜行して後ろからはねた行為を「故意に匹敵するほど重大で悪質」と強調。胎児だった娘の日七未(ひなみ)ちゃんにも24時間看護が必要な重い障害が残り、「家族の生活も大きく変化した」と述べた。一方、弁護側は反省していることなどを理由に「結果の重大性のみで過度に重い刑を科すべきではない」と主張した。被害者側の代理人弁護士は実刑が相当だとし、法定刑上限の禁錮7年を求めた。
夫「現在進行形の被害にも目を向けて」
論告に先立ち、研谷さんの夫友太(ゆうだい)さん(33)が意見陳述を行った。人工呼吸器を付けて懸命に生きる日七未ちゃんに救われながらも「目を開け、声を出して笑う姿を見たかった。何よりも無念なのは妻だ」と声を震わせた。裁判所に対し「現在進行形の被害にも目を向けてほしい」と訴えた。
被告の謝罪と法整備の課題
児野被告は最後に「日七未さんも私が起こした事故の被害者。すべてに対する処罰を受ける」と謝罪した。起訴状によると、昨年5月21日、前方左右を十分注視しないまま路側帯を歩行中の研谷さんをはねて2日後に死亡させ、胎児の日七未ちゃんにも傷害を負わせたとされる。刑法上、胎児は「人」ではなく、検察は日七未ちゃんへの過失致傷の罪の適用を見送った。遺族は胎児の被害についての法整備を求め、オンラインで署名を募っている。



