特殊詐欺グループの巧妙な役割分担 現金授受専用メンバーの存在が明らかに
大阪府警が摘発した特殊詐欺事件で、匿名・流動型犯罪グループ「匿流(トクリュウ)」が、電話の「かけ子」ら実行役とは別に、現金の受け取りだけを担う専用メンバーを配置していたことが判明した。捜査の全容解明を避けるための巧妙な手口が、別の窃盗事件で逮捕された男のチャット履歴から浮き彫りとなった。
窃盗事件の捜査中に発覚した詐欺グループの痕跡
大阪府警は昨年9月、和歌山県内の住宅の金庫から現金を盗んだ窃盗容疑で、兵庫県川西市の飲食店経営の男(26)を逮捕した。この男のスマートフォンを調べたところ、秘匿性の高い通信アプリのチャットに「準備ができた」というメッセージが残されていた。
府警の捜査により、このチャットは窃盗事件とは別に、男が詐欺の「かけ子」とみられる実行役らとやり取りをしていた痕跡であることが明らかになった。かけ子らは昨年7月から10月にかけて、警察官や検察官などになりすまし、富山市の70歳代の女性に対し、「マネーロンダリングに関わっている疑いがある」などとうそを言って現金をだまし取っていた。
現金授受の専用メンバーが配置された背景
被害女性は指示されるまま4回に分け、現金計約1800万円を大阪市鶴見区のマンションの一室などに宅配便で送付。チャットにはこのマンションの住所も記録されており、飲食店経営の男の仲間として詐欺容疑で逮捕された、大阪市東淀川区の無職の男(22)の父親の自宅であることが判明した。
この無職の男は、別居していた父親の住所情報を飲食店経営の男に提供し、現金を父親宅で受け取った後、別のメンバーに渡す役割を担っていたとみられる。現金の行方は依然として不明で、かけ子ら実行役の特定も進んでいない。
府警は、発覚リスクが高い現金の授受を実行役とは別のメンバーに担当させることで、捜査による全容解明を回避する目的があったと分析している。両被告は今年3月、富山市の女性の被害のうち540万円分について、計画に加担した別の男1人とともに詐欺罪で起訴された。
チャット履歴が解明の鍵に 捜査は続く
府警幹部は「チャットのやり取りが消去されておらず、役割分担の詳細が把握できた珍しいケースだ。全容を把握するためには、より上位の人物の関与を解明していく必要がある」と述べ、捜査の継続を強調した。
この事件は、特殊詐欺グループが組織的に役割を分担し、捜査機関の目を欺こうとする手口の巧妙さを浮き彫りにしている。大阪府警は、匿名・流動型犯罪グループ「匿流」の実態解明に向け、さらなる捜査を進めていく方針だ。



