奈良県内に住む外国人の増加に伴い、難しい言葉を簡単な言葉に言い換える「やさしい日本語」が県内でも広がりを見せています。各自治体では研修会などを通じて普及に力を入れており、県も行政サービスの多言語化を進めるとともに、地域でやさしい日本語を広める考えです。
防災情報をやさしい日本語で
「今日起きた地震について」――今月2日、奈良県を震源とする地震が発生し、震度3を観測した橿原市では、2024年から防災情報をやさしい日本語を含む多言語で配信するサービスを開始しています。この地震を受けて、登録者に一斉メールが送られました。
やさしい日本語の起源と特徴
やさしい日本語は、1995年の阪神大震災で、日本語が分からない外国人が必要な情報を得られなかったことを教訓に考案されました。一文を短くし、文章を簡単にしたり、難しい言葉を避けたりすることを基本としています。曖昧な表現や二重否定を避け、漢字にふりがなを振ることで、外国人だけでなく高齢者や障害者にも分かりやすい表現を目指しています。
奈良県の外国人住民の増加
県内の在住外国人は増加傾向にあります。2020年には1万3985人だった在住外国人が、2023年末には1万7614人となりました。人口に占める割合も1994年の0.72%から2023年には1.36%と、約2倍に大幅に増加しています。
一方、2024年に県が県内在住の外国人を対象に行ったアンケートでは、住んでいて困っていることとして「言葉・コミュニケーション」を挙げる人が約37%で最多でした。災害時に困ったこととしては「避難に関する情報が多言語で発信されていない」を挙げる人も約11%いました。
県の多文化共生推進プラン
県は2024年度末に「県多文化共生推進プラン」を作成しました。外国人の相談体制を充実させるほか、日本語学習機会の提供やボランティアを含む日本語学習をサポートする人材の確保とともに、行政、医療、福祉などの多言語化を進めることとし、県民に向けてもやさしい日本語を広める考えです。
奈良市での講座
県内で最も外国人住民が多い奈良市では6月24日、「『入門・やさしい日本語』講座」を開きます。社内での円滑なコミュニケーションを目指し、企業や団体関係者を対象に、ワークショップを交えてやさしい日本語について学びます。
田原本町での取り組み
2012年に180人だった外国人住民が460人となった田原本町でも、今月30日にやさしい日本語教室を開催します。地域の外国人向けに日本語学習環境を整える県の「地域日本語教育体制整備事業」総括コーディネーターの加藤杏子さんを招き、町内の外国人と地域住民がやさしい日本語での会話を実践します。町ではやさしい日本語で外国人住民と会話するサポーターも募っています。11月頃には、サポーターとともに外国人住民が学ぶ「地域日本語教室(仮称)」を試行する計画です。
加藤さんは「やさしい日本語は外国人のためだけではなく、全ての人に分かりやすい表現です。やさしい日本語を通して、日本語を母語としない人と関わることで、世界を知るきっかけにもなると思います。興味のある人はぜひ地域の日本語教室にも足を運んでもらいたい」と話しています。
田原本町での開催の問い合わせは、町教育委員会文化振興課(0744-32-6193)まで。



