再審請求中の死刑執行が弁護権を侵害するなどとして、元死刑囚の弁護士3人が国に賠償を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁(谷口安史裁判長)は13日、原告側の訴えを棄却する判決を言い渡した。一審・大阪地裁に続き、再審請求中の死刑執行を違法とは認めなかった。
事件の背景
原告の3人は、強盗殺人などの罪で2004年に死刑が確定した元暴力団幹部、岡本(旧姓・河村)啓三元死刑囚の再審請求の弁護人を務めていた。元死刑囚は第4次再審請求中の2018年12月に死刑が執行された。原告側は、再審請求中の執行は「裁判を受ける権利」を定めた憲法32条などに違反すると主張していた。
一審判決の内容
一審判決は、憲法32条の「裁判」は刑事裁判を指し、再審請求は含まれないと指摘。再審請求を繰り返して死刑執行が事実上不可能になるのは不合理だとして、原告の請求を退けた。一方で、「再審請求中の死刑執行については慎重な検討が必要」とし、「違法と評価されうる場合があり得る」と付言していた。
控訴審での主張
控訴審で原告側は、刑法学者の意見書を新たに提出し、「死刑については他の刑罰よりも慎重な手続きが必要だ」と主張。「死刑に限っては再審請求中の執行停止を認めるべきだった」と改めて訴えたが、高裁は一審判断を支持した。
再審請求中の執行をめぐる現状
法務省によると、2026年4月時点で死刑確定者101人のうち46人が再審請求中だ。近年は再審請求中でも執行されるケースが相次ぎ、法務省が事実上、運用を変更したとの見方がある。刑事訴訟法には再審請求中に死刑執行を止める規定はなく、歴代法相も「再審請求中だから執行しないわけではない」と説明してきた。
過去の運用と転換点
過去には再審請求中は執行しない運用が定着していた。法務省の1960年版犯罪白書にも「再審請求の処分が終了するまでは原則として死刑の執行を差し控える運用がなされている」と記されている。この運用が転換したのは、オウム真理教元幹部らの死刑執行が機会との見方がある。
死刑執行後に冤罪が判明した場合、取り返しがつかないため、慎重な手続きが求められるが、裁判所は現行法の枠組みでは再審請求中の執行停止義務はないとの判断を示した。



