大阪高裁(大島雅弘裁判長)は、ノンバイナリーの50代が戸籍の性別記載を「長女」から性別を明らかにしない表記に変更するよう求めた抗告審で、男女以外の記載を認めない戸籍法の運用は憲法14条の平等原則に抵触する状態にあると判断した。決定は5月8日付で、抗告は棄却された。
ノンバイナリーの訴え
抗告人は京都府を本籍地とする50代で、女性として出生届が出され、戸籍の実父母との続き柄欄に「長女」と記載されている。しかし、自身は男性でも女性でもないノンバイナリーであり、「男とも女とも扱われない権利の保障」を求め、「長子」や「子」など性別を明示しない表記への訂正を求めていた。
高裁の判断
決定は、性同一性障害特例法やLGBT理解増進法に言及。性自認は個人の人格や存在に直結するため、性自認に沿った法令上の性別取り扱いは「重要な法的利益」と指摘。現行の戸籍法施行規則が男女以外の性自認を前提とした表示方法を定めていないことは、LGBT理解増進法の基本理念に反し、ノンバイナリーと他のトランスジェンダーとの間に無視できない差別を生じさせているとした。
その上で、「平等原則を定める憲法14条1項の趣旨に抵触するもので是正すべき状態」とし、「性自認に合致する形で訂正する道を開くことが相当」と判断。しかし、戸籍は社会の基本的インフラとして承認されており、「具体的な制度の整備は国会の立法過程を通じて行われるべきだ」と結論づけ、抗告を棄却した。
申立人の反応
代理人の仲岡しゅん弁護士は、申立人が「安堵感で言葉にできない」と語ったと報告。決定は現状の問題性を認めた点で画期的だが、具体的な救済には至らず、今後の立法措置が待たれる。



