名古屋市南区の交差点で5月29日、送迎用のマイクロバスが横断歩道を渡っていた男女2人をはね、死亡させた事故で、愛知県警に逮捕された自称アルバイトの酒井照也容疑者(85)が、長年にわたり運転業務に従事してきたベテラン運転手であることが、関係者への取材で明らかになった。酒井容疑者は事故後にそのまま逃走したとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで送検された。
事故の概要
県警によると、事故は29日午後5時35分ごろ、名古屋市南区寺崎町の信号交差点で発生。酒井容疑者が運転するマイクロバスが横断歩道を渡っていた男女2人をはね、両名を死亡させた。酒井容疑者はそのまま現場から逃走したが、後に逮捕された。
酒井容疑者の経歴
酒井容疑者は60歳過ぎに「名古屋スイミングクラブ」(南区)に嘱託職員として入社し、送迎バスの運転手を務めていた。複数の知人によると、クラブ入社前も運輸関係の仕事に携わっており、退職後にクラブで働き始めたという。クラブによれば、酒井容疑者は約20年間勤務した後、2022年1月にひざの痛みを理由に一度退職。しかし、治療で症状が改善したため、同年3月末ごろにパートとして再雇用された。再雇用後は午後3時以降の送迎を担当し、週5日、計18~19時間勤務していた。
酒井容疑者の知人の女性は「以前の仕事で荒い運転をしていたとは聞いたことがなく、事故前日にも見かけたが普段通りの様子だった。事故に驚いている」と話した。
高齢ドライバー問題
今回の事故は、高齢ドライバーによる重大事故の防止策が改めて問われる結果となった。酒井容疑者は85歳と高齢でありながら、長年運転業務に従事していたベテランだった。クラブ側は健康上の理由で一度退職したものの、再雇用に踏み切っており、その判断が批判の対象となる可能性もある。一方で、運転手不足が叫ばれる業界では、高齢者に頼らざるを得ない現状も浮き彫りになった。



