警視庁は5日、IT関連会社(東京・赤坂)の代表の男(49)が逮捕された「遺体なき死体遺棄事件」で、被害者の遺体の一部が静岡県伊豆市で発見されたと発表した。DNA型鑑定の結果、遺体は同社役員の男性(当時54歳)=東京都港区=と特定された。同男性の行方不明届が出されてから約8カ月が経過していた。
行方不明から発見までの経緯
男性については、昨年10月10日に知人女性から「連絡が取れない」と麻布警察署に相談があり、行方不明届が出された。家族からも同様の相談が寄せられていた。同署は直後から事件や事故の可能性を視野に捜査を開始した。
防犯カメラの映像で、男性の姿が最後に確認できたのは、行方不明届の約2週間前の9月28日。普段着で自宅付近を歩く様子が映っていた。自宅内を調べたが、荒らされた形跡はなかった。男性と共に働き、後に死体遺棄容疑で逮捕・起訴された男は当時、「仕事上のトラブルは聞いたことがない」と話していた。警察官も港区赤坂の会社事務所を訪れたが、事件性には気づかなかった。
不審な痕跡の発見
転機は今年2月、知人女性から再び相談があったことだ。捜査関係者によると、その後、警視庁は改めて捜査を強化。4月には神奈川県相模原市での捜索を実施したが、遺体は見つからなかった。しかし、5月下旬に静岡県伊豆市でボストンバッグが発見され、中から遺体の一部が見つかった。バッグは同社代表の男が遺棄したとみられている。
発見までに時間がかかった理由について、捜査関係者は「一見してわからない痕跡があった」と説明する。遺体は断片化されており、発見が難航したという。警視庁は今後、死体遺棄の経緯や殺人の可能性も含めて捜査を進める方針だ。
この事件は、IT業界の裏側や人間関係の複雑さを浮き彫りにしている。今後の捜査の進展が注目される。



