「君の椅子プロジェクト」が21年目の節目を迎え、新生児に手作りの椅子を贈呈
新たな命の誕生を祝い、赤ちゃんに手作りの木製椅子をプレゼントする「君の椅子プロジェクト」の贈呈式が、4月4日に北海道東川町で行われました。このプロジェクトは、参加自治体が費用を負担する仕組みで、今年で21年目を迎えました。今年度は道内外の13町村が参加し、持続的な取り組みとして地域に根付いています。
贈呈式の様子と椅子に込められた思い
贈呈式では、今年1月と2月に生まれたばかりの赤ちゃんとその親、計3組に、旭川家具の職人が丹精込めて作った木製の椅子が手渡されました。2026年モデルの「君の椅子」は、希望の象徴として贈られており、首長や製作者らが、小さな我が子を抱く父母に、椅子に託した思いを熱く語りました。
「木は使うほどに味わいが出る。宝物に育ててほしい」という言葉が、贈呈式で繰り返され、椅子が単なる家具ではなく、子どもの成長を見守る存在であることが強調されました。椅子には「君の居場所」という深い意味が込められており、家族の絆を強める役割も果たしています。
プロジェクトの起源と広がり
プロジェクトの代表は、元北海道副知事の磯田憲一さん(81歳)です。磯田さんは、旭川大学(現・旭川市立大学)の大学院で教鞭を執っていた際、子どもが虐待されるニュースに心を痛め、ゼミ生と共に地域全体で子どもの誕生を祝福する方法を議論する中で、このプロジェクトを発案しました。
趣旨に賛同した東川町が2006年に取り組みを開始し、次第に小規模自治体の参加が増加。昨年12月末までに、自治体から計2916脚の椅子が贈られており、プロジェクトの広がりを実感させます。
椅子の特徴と持続的な価値
椅子のデザインは毎年変更され、椅子の形を見るだけで子どもが生まれた年が分かるようになっています。2015年以降は、北海道産のミズナラを使用しており、地元の資源を活かした持続可能な取り組みにもなっています。
赤ちゃんが生まれた後に発注され、名前や誕生日も刻まれるため、完全なオーダーメイド品です。数か月後に贈呈されるまでに、職人の手で丁寧に仕上げられます。また、修理も可能で、長く使い続けられるように配慮されています。
磯田代表のメッセージと未来への期待
磯田さんは、「この椅子は自分の誕生を肯定する存在です。いつか人生でつまずいた時、椅子を見て勇気を取り戻すきっかけになるはずです。古くなって終わりではありません。古さの向こうに新鮮な喜びがある椅子です」と語り、プロジェクトの哲学的意義を強調しました。
この取り組みは、単なる贈り物を超え、子どもの自己肯定感を育み、地域社会の結束を高める役割を果たしています。今後も多くの自治体が参加し、新たな命を祝福する文化が広がることが期待されます。



