5月24日に投開票が行われた春日井市長選・市議補選において、全戸配布を予定していた選挙公報が届かなかった世帯が存在することが明らかになった。春日井市選挙管理委員会には、23日以降に「公報が届かない」という問い合わせが約20件寄せられた。市選管の担当者は「通常の問い合わせは4、5件程度であり、以前と比較して多い」と説明しているが、実際に届かなかった正確な部数は把握できていない。
未配布の実態と住民の声
未配布は主に市東部の高蔵寺ニュータウンで確認されている。藤山台地区に住む77歳の女性は、投開票日当日になっても公報が届かなかったと語る。投票は行ったものの、特に市議補選については判断材料が少なく、「候補者がどんな人か分からない」と困惑した様子だ。また、「公報が届かず、投票に行きたくても行けない人もいる。投票率が下がったのではないか」と訴える。同地区の別の50歳の女性も「記憶にある限り初めての経験だ。高蔵寺だけ配られないのは不公平だ」と憤りを隠さない。
選挙公報の法的位置づけと春日井市の取り組み
公職選挙法では、国政選挙と都道府県知事選挙において選挙公報の発行が義務付けられているが、市長選などの地方選挙では任意となっている。ただし、条例を制定すれば発行が可能であり、自治体によって対応が分かれている。春日井市は条例を制定し、これまで全戸配布を継続してきた。条例では「選挙期日の前日までに配布」と規定されている。今年2月の衆院選までは、名古屋市の新聞折り込み業者と随意契約を結び、折り込みと未購読者へのポスティングにより13万6100部を配布していた。日曜日に公示・告示された場合、水曜日の朝刊と一緒に届くケースが多かったという。
今回の配布方法の変更と課題
今回の市長選・市議補選では、指名競争入札により名古屋市のポスティング業者に委託された。市選管によると、市の広報紙が町内会配布からポスティングに変更されたことを機に、選挙公報の配布方法も見直された。契約金額は約400万円で、これまでの業者が提示した金額の約半分だった。市長選・市議選は告示から投開票まで7日間しかないが、担当者は「全戸配布には時間がかかる」と釈明する。今回は17日午後5時に立候補の届け出を締め切った後、候補者の掲載順をくじで決めて印刷を開始。18日午前に納品され、同日午後から配布を始めた。市のホームページには17日夜に掲載され、期日前投票所には18日午後、公共施設には19日、20日にかけて設置された。
今後の展望
スケジュールの厳しさから、全戸配布を断念する自治体は少なくない。担当者は「デジタルだけでは情報にたどりつけない人がいる以上、全戸配布は続けたい」と話し、今後の配布方法を検討するとしている。



