セクハラ辞職の前福井知事、退職金の一部1千万円を返還へ
複数の県職員へのセクシュアルハラスメントを認めて辞職した福井県の杉本達治前知事が、退職金約6千万円のうち1千万円を返還する意向を示していることが明らかになった。2026年2月16日に開催された県議会全員協議会において、中村保博副知事がこの事実を報告した。今後、県議会では返還を受け入れるか否かについて、2月定例会で本格的な議論を進めていく方針だ。
退職金6162万円支給と特別調査費用900万円
県人事課によれば、杉本前知事には昨年2025年12月26日付で退職金6162万円が支給されている。一方、弁護士によるセクハラの特別調査には約900万円の費用がかかっており、県議会内では杉本氏に対して返還を求める意見が相次いでいた。この背景には、公費を使った調査費用に対する県民の厳しい視線がある。
県当局は2026年1月28日付で、杉本氏の代理人弁護士へ道義的観点から退職金の任意返納を求める申入書を送付。さらに2月9日には中村副知事が杉本氏本人と直接面会し、返還について協議を行った。
「法令上は根拠ないが道義的責任を重く受け止める」
杉本氏からは退職金について、「在任期間に合わせて法令に基づき支給されるもので、本来返還の根拠がないと考えている」との説明があった。しかしながら、被害者や職員に迷惑をかけ、県政を混乱させたことについては深く反省しており、「特別調査に要した経費を念頭に1千万円を返還したい」と申し出たという。
この発言は、法的な義務ではなく道義的な責任を重く受け止めた姿勢を示している。セクハラ問題が発覚した後、杉本氏は2025年12月4日に福井県議会で辞職の同意を得て退任のあいさつを述べており、県政に与えた影響は計り知れない。
県議会での議論と今後の展開
16日の全員協議会では、返還金額の妥当性や手続きについて活発な意見交換が行われた。主な論点は以下の通りである:
- 特別調査費用900万円と返還額1千万円の整合性
- 道義的責任と法的責任の境界線
- 返還金の使途と県政への還元方法
- 今後の再発防止策と組織風土の改革
県議会関係者は、「この問題は単なる金銭的な処理ではなく、県政の信頼回復に向けた重要な一歩となる」と指摘。2月定例会では、返還の具体的な受け入れ手続きや、セクハラ防止対策の強化についても審議される見通しだ。
福井県庁では、杉本前知事のセクハラ問題を受けて組織風土の見直しが進められており、今回の返還意向はその一環として捉えられる。県民の間では、「責任の取り方として一定の評価はできるが、根本的な解決には至っていない」との声も聞かれる。