中東情勢悪化で鰹節工場休業、シンナー品切れ…九州の暮らし直撃
中東情勢悪化で�節工場休業、シンナー品切れ…九州の暮らし直撃

中東情勢悪化が九州の暮らしを直撃

混迷する中東情勢が、私たちの日常生活に深刻な影響を及ぼしている。原油価格の高騰や石油製品の不足が、さまざまな産業や市民生活に打撃を与えている。本記事では、その実態を追った。

鰹節工場が休業に追い込まれる

鹿児島県指宿市にある鰹節製造会社「カネニニシ」の工場では、燃料となる重油の価格が急騰したため、一時休業を余儀なくされた。同工場は一昨年春に稼働したばかりで、体育館ほどの広さの工場内には深さ約2メートルの釜が2列に並ぶが、現在は約1週間も空のままとなっている。西雄生社長(52)は「ここまで休むのはコロナ禍以来。先が見通せない」と困惑する。

指宿市山川地区は国内有数の鰹節産地であり、普段は各工場から煙が立ち上り、鰹節の香りが漂う港町だ。しかし、中東情勢の悪化を受け、山川水産加工業協同組合に加盟する16社のうち、カネニニシを含む11社が5月7日から9日までの3日間、一斉に休業した。西社長は「夏場の消費拡大に向けた繁忙期だけに、休業は痛手だ。先行きが見えず、同業の仲間と頭を抱えている」と語る。

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政府の対応と備蓄放出

政府はエネルギー供給への対応を急いでいる。鹿児島県東串良町と肝付町に位置する志布志国家石油備蓄基地では、タンカーへの原油注入作業が行われている。全国に10か所ある国家石油備蓄基地では、3月下旬から備蓄原油の放出を開始した。国家備蓄原油の放出は、ロシアによるウクライナ侵略が始まった2022年以来、2度目となる。

生活への影響拡大

生活への影響は既に顕在化している。佐賀市交通局では、市営バス用の軽油の入札(4~6月分)が不調に終わり、約1週間分ずつを随意契約に切り替えて調達している。価格は以前の1.3~1.5倍に跳ね上がった。

ホームセンターでは、塗装に使うシンナーや養生シートの品切れが相次いでいる。福岡県大野城市のハンズマン大野城店では、シンナーが売り場から消え、養生シートの棚も空で、「お1人様5巻まで」の注意書きだけが目立つ。荻野博美店長(51)は「不定期だが商品は入ってきているので、必要な分だけを購入してほしい」と呼びかける。

医療現場にも影響が及んでいる。熊本市中央区のやまさき歯科・矯正歯科では、医療用手袋の入手が困難になり、患者1人に複数使っていた手袋を1枚に制限。麻酔が必要な治療は先延ばしにしているという。山崎芳徳理事長は「節約しかない」と嘆く。

日本の脆弱さが浮き彫りに

石油供給の不安定化により、エネルギー資源に乏しい日本の脆弱さが改めて浮き彫りとなった。ひとたび供給が不安定になると、影響を受ける裾野は極めて広い。市民一人ひとりの冷静な対応が求められている。

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