授乳室で搾乳できることを明示する動きが広がる
授乳室は赤ちゃんに母乳を与えるだけでなく、搾乳のためにも利用できる――。こうしたメッセージをステッカーやマークで積極的に案内する施設が増えている。外出先で搾乳したいと思っても、赤ちゃん連れが一般的な授乳室に一人で入ることに抵抗を感じる母親が多いためだ。そうした経験を持つ母親たちからは、「心理的なハードルが下がれば、外出時の安心感につながる」と期待の声が上がっている。
佐賀県がマークを作成、県内54施設に掲示
低体重で生まれた赤ちゃんの親でつくるグループ「Nっ子ネットワーク佐賀 ピアンピアーノ」の要請を受け、佐賀県は「さく乳できます」の文字と搾乳器のイラストを描いたマークを独自に作成。昨秋以降、図書館や博物館など県内54施設の授乳室に掲示を始めた。
グループ副代表で、三女(7歳)を588グラムで出産した小松彩さん(44歳)は、「搾乳の必要性が広く知られ、理解してもらえる一歩になってほしい」と願う。1500グラム未満で生まれた「極低出生体重児」は消化器官が未発達なため、ミルクでは腸が壊死する危険性があり、母乳が推奨されている。
三女は生まれてすぐに九州大病院(福岡市東区)の新生児集中治療室(NICU)に入院。小松さんは先に退院したが、三女がNICUを出るまでの約4カ月間、3時間おきにアラームを設定して搾乳。母乳を保存用容器に入れ、車で自宅(佐賀県唐津市)から片道1時間半以上かけて病院に運んだ。ただ、授乳室で搾乳することはできなかった。「母親1人では不審に思われるのではないかと考え、外出時は車の中で搾乳することもあった」と振り返る。
低体重児の増加と搾乳場所の課題
医療技術の進歩や晩産化などに伴い、低体重で生まれる赤ちゃんの割合は増加傾向にある。一方で、外出先での搾乳場所の確保は、母親にとって深刻な悩みとなっている。今回の取り組みは、そうした問題の解決に一石を投じるものとして注目される。



