子どもの近視が進行中!県内の小中高生、全国平均を上回る視力低下の実態と最新治療法
子どもの近視が進行中!県内の視力低下の実態と治療法

きよはら・たかし 県医師会常任理事、二瓶眼科医院理事長・院長。早稲田大教育学部理学科卒、日大医学部卒。

外遊び減少と電子機器使用増加で子どもの視力が低下傾向

外遊びの時間の減少、スマートフォンやタブレットなどの電子機器の使用頻度の増加などにより、子どもたちの視力は低下傾向にあります。学校の視力検査の結果で要再検査となり、眼科を受診した家庭も少なくないのではないでしょうか。今回は、県医師会常任理事の清原尚(たかし)先生(会津若松市、二瓶眼科医院理事長・院長)に、子どもの近視に関する傾向や最新の治療法などについて伺いました。

体が育つ時期に眼球が伸び進む近視のメカニズム

近視とはどのような状態か

近視とは、目の中でピントが網膜よりも手前に合ってしまう状態をいい、「近くは見えるが、遠くのものがはっきり見えない状態」です。眼球が前後に伸びて、ピントが網膜に合わずに物や字がぼやけて見えることは「軸性近視」といいます。眼球は体が成長する時期に伸びることが多く、低年齢の頃に速く伸びる特徴があります。

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県内の子どもたちの現状

県が2月に発表した2025年度学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合は、小学生40.2%、中学生62.1%、高校生78.1%でした。文部科学省の全国調査では、小学生36.1%、中学生59.4%、高校生71.5%となっており、いずれも全国の数値を上回っています。

近視の治療法と進行抑制の重要性

近視治療の基本

近視は「治す」というより「進行を抑える」ことが重要です。以前は「眼鏡をかけると視力が悪くなる」といわれていましたが、現在では、適切な度の眼鏡を適切な方法で装用すれば、視力が悪化することはなく、むしろ進行予防になります。

最新の治療法:点眼薬とコンタクトレンズ

近視を止めたり回復させたりするものではありませんが、眼球が伸びるのを抑制する「低濃度アトロピン点眼薬」があります。また、就寝時に特殊な形のハードコンタクトレンズを装着することで角膜の形状を変化させ、日中の裸眼の視力を改善させる「オルソケラトロジー治療」などがあります。いずれも医療機関での診察が必要です。

近視予防のための具体的な方法

屋外活動の重要性

特に重要なのは、1日2時間以上の屋外活動(外遊び)です。また、米国眼科学会では「20-20-20ルール」、デジタル端末を20分見たら、20フィート(約6メートル)離れた所を20秒間眺めるというルールを推奨しています。日本でも、デジタル端末を30分見たら、20秒以上遠くを見て目を休ませることが推奨されています。就寝1時間前のデジタル端末の使用も控えましょう。

子どもの眼鏡作成のタイミングとポイント

眼鏡を作るタイミング

近視の場合、小学生では本人が「黒板の字が見えなくなった」と感じた時が、眼科受診や眼鏡作成を考える一つの目安になります。「目を細めて黒板の字を見る」「テレビに近寄る」などといった様子が見られる場合は、眼科受診を勧めています。学校の視力検査で視力低下を指摘された場合などは、学校の先生とも連携を取り、学校で見づらくしていないかどうかなど聞いてみるといいでしょう。一方で、遠視の場合は眼鏡が「見えやすくするため」だけでなく「視力の発達を助ける治療」として必要になる場合があります。遠視の程度や視力発達の状況によって判断が異なるため、眼科医による評価が重要です。

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眼鏡作成のポイント

眼鏡は、レンズの中心部分で最も正確に度数が合うようになっています。そのため、1. 顔の幅に合っているか、2. ずれにくいか、3. レンズの中心と黒目の位置が合っているかということが大切になります。特に子どもは動きが多く、眼鏡もずれやすいため、鼻当てが調整できるかなどのフィット感は重要です。お店の人と相談して選ぶと安心です。

近視の治療法の一例

低濃度アトロピン点眼薬

初めに検査・診察をし、問題がなければ点眼薬1箱(30日分)が処方されます。毎日就寝前に1滴点眼。初診から1カ月後に検査・診察し、問題がなければ最大3箱(3カ月分)が処方されます。これまでは自由診療(保険適用外)でしたが、6月からは診察費・検査費が保険適用となりました(点眼薬は引き続き保険適用外)。5歳以上への処方が勧められており、少なくとも2年間使用を継続することが望ましいです。点眼薬1箱の料金は4500円前後です。

オルソケラトロジー

朝晩の付け外しは必要ですが、日中はコンタクトレンズや眼鏡を気にせず生活できるのがメリット。県内では取り扱っている医療機関が少ないことと、誤った使い方をすると眼障害を引き起こす可能性があることなどがデメリットです。適応検査を行い、問題がなければ検査用のレンズを装着し、治療に使うレンズを決定します。注文したレンズが届いたら、治療開始です。自由診療で、初期費用に15万~20万円程度(診察代、レンズ代含む)がかかります。