長崎県対馬市にある県対馬病院の看護部が、看護師や助産師の確保を目的に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した情報発信に力を入れている。離島の医療体制を維持するための取り組みで、中心的な役割を担う看護部長の福島利恵さん(58)に、その活動の意義や成果について聞いた。
情報発信のきっかけと経緯
福島部長によると、情報発信は2023年に開始した。15年に二つの病院が合併して対馬病院が発足した際には約220人の看護師が在籍していたが、新型コロナウイルス禍を経て24年には約170人にまで減少した。定員の177人を下回ると現場の運営が困難になるため、インスタグラムを活用することにした。現在はパートや短期契約の職員も含めて176人が在籍しており、ほぼ定員を満たしている。福島部長は「情報発信の効果が大きかった」と語る。
発信内容と工夫
発信している内容は多岐にわたる。例えば5月には、4月に入職した新人看護師や島外からの応援看護師へのインタビューを投稿。1か月が経過した振り返りや、初めての離島生活の感想、対馬病院を選んだ理由などを紹介した。他の看護師にも、仕事の楽しさや大変さを語ってもらっている。
特に工夫している点として、職場の雰囲気を伝え、親しみやすさを感じてもらえるように、スタッフの表情がよく分かる写真を多用している。また、研修や委員会活動、懇親会の様子なども積極的に発信。ほぼ毎日、様々な情報を提供することで、対馬病院で働くイメージを持ってもらえるよう努めている。
情報発信の成果
開始当初は1投稿あたり数百回だった閲覧数が、最近では1万回ほどになるものも出てきた。昨年最も多かった投稿は約10万回に達した。離島の医療従事者向けの奨学金やオンライン説明会に関する質問など、これまでになかった問い合わせも増加。都市部の若い看護師や学生からよく見られている実感があるという。
福島部長は「看護師を志望する人たちにとって、私たちのインスタが病院を選ぶ判断材料になっていると実感している。地元の人たちもチェックしてくれており、病院のことを地域に知ってもらう良い機会になっている。実際にアップ作業を担当している事務職員や、活動に理解を示してくれる院長の協力も大きい」と話す。
今後の展望
SNS以外の情報発信として、7月9~11日には都市部の看護師・助産師向けのイベント「対馬病院スタディーツアー」(定員5人)、8月には看護学生のインターンシップ(同)を予定している。離島の病院での働き方に触れてもらう機会を提供するほか、実際に働いている看護師らとの交流会も行う。市や地域とも連携し、「働きたくなる病院づくり」「住みたくなる対馬づくり」に取り組んでいきたいと意気込む。
福島利恵部長のプロフィール
福島利恵さんは対馬市出身。県立対馬高校から北九州市内の看護専門学校へ進み、1990年から県離島医療圏組合対馬いづはら病院(現・県対馬病院)に勤務。2024年から看護部長を務める。休日は家事と庭の花壇の手入れをしながら過ごすことが多い。趣味は油絵を描くことだが、最近は「なかなか余裕がなくて」と絵筆を握れていない。



