「誠雅も頑張ったんやから俺も頑張ろう」亡き友思う18歳、孤立しやすい10代支援するホスピス
「誠雅も頑張ったんやから俺も頑張ろう」亡き友思う18歳の決意

大阪市鶴見区にある「TSURUMIこどもホスピス」は現在、10代の若者支援に力を注いでいる。重い病気を抱える子どもたちは、年齢が上がるほど孤立しやすくなるためだ。

10代向けの多彩なイベント

約5年前から、ホラー映画の上映会「ムービーナイト」やオンラインの「リアル脱出ゲーム」など、10代向けのイベントを開催してきた。2023年には施設を改装し、カラオケルームや友達同士で宿泊できるベッド付きの部屋を設置。子どもたち自身が企画するゲーム大会も行われている。

病院以外で初めての友達

奈良県に住む先天性心疾患の中園旺佑さん(18)は、今年3月に人気ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」の大会を自ら企画した。開会のあいさつで、参加した約25人の子どもたちに「ここを利用してから、自分の世界が広くなりました」と語りかけた。

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旺佑さんは、心臓から肺に血液を送る動脈が塞がった状態で生まれ、3歳までに4回の手術を経験。その後も血液中のたんぱく質が体内に漏れる合併症に苦しんだ。中学2年以降は大半を病院で過ごし、運動会や文化祭、修学旅行にも参加できず、高校は通信制を選んだ。自宅と病院だけが居場所だったが、看護師の勧めで2023年5月にTSURUMIに通い始めた。

その月のバーベキューイベントで、兵庫県西宮市から通っていた石黒誠雅さん(当時14歳)と出会った。誠雅さんは小学5年の時にユーイング肉腫と診断され、手術や抗がん剤治療を続けていた。緊張する旺佑さんに「ここはほんまにええところやで」「いろんなことができるよ」と声をかけてくれた。旺佑さんは「年下だけど、お兄ちゃんのように感じた」と振り返る。

「また会おうな」が最後に

その後もイベントで一緒になり、2024年5月のバーベキューで初めてゆっくり会話。気が合い、一緒にカラオケを楽しんだ。「初めて病院以外で仲良くなった子だった」という。同年10月のバーベキューでは2人で記念写真を撮り、帰り際に「また会おうな」と言って別れた。

しかしその年の12月、誠雅さんは14歳で亡くなった。約2か月後、施設のスタッフから知らされた旺佑さんは車に戻り泣いた。誠雅さんはがんの再発を繰り返し、余命が長くない状態だったという。

スタッフから誠雅さんが闘病や学校生活にどれほど真剣に取り組んでいたかを聞き、旺佑さんは「誠雅も頑張ったんやから、俺も頑張ろう」と自分に言い聞かせている。スタッフの川戸大智さんは「旺佑は誠雅に出会ってから気持ちが前向きになった」と話す。誠雅さんの母・一江さんは「旺佑さんが誠雅に勇気づけられたと知り、誠雅の強い意志や笑顔には周りを支える力があると感じられた」と感謝する。

ホスピスの輪を広げる取り組み

TSURUMIは今年度、こどもホスピス開設を目指す人々にノウハウを共有するため、施設内で働く研修制度を開始。第1号は認定NPO法人「愛知こどもホスピスプロジェクト」代表理事の畑中めぐみさん(47)だ。2023年から愛知県で病気の子や家族向けイベントを開催してきた。今夏には長久手市の空き家を借り、子どもたちの受け入れを始める予定。畑中さんは「日常の小さな願いを一緒にかなえていきたい」と語る。

TSURUMIの開設から10年。ここからこどもホスピスの輪が広がっている。

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