大阪市鶴見区にある「TSURUMIこどもホスピス」が、2026年春に開設から10周年を迎えた。医療や福祉の制度から独立した日本初のこどもホスピスとして、重い病気と闘う子どもたちに自由に遊べる場を提供してきた。
遊びを通じた支援の場
施設は約4300平方メートルの敷地に、遊具や絵本コーナー、カフェスペースを備える。利用できるのは小児がんや先天性心疾患、重症心身障害などの子どもたち。現在、看護師5人、保育士4人、元教員1人の計10人のスタッフが対応する。
はなちゃんの物語
先天性心疾患の新坂はなちゃん(3)は、生後17日目に最初の手術を受け、現在も通院を続けている。鼻に酸素チューブをつけながら、施設の中庭でしゃぼん玉や三輪車で遊ぶ。母親のさやかさんは「ここは安心して遊ばせられる。母子ともに大切な場所」と語る。
源一朗君の体験
急性リンパ性白血病と診断された中田源一朗君(6)は、幼稚園に通えなかった時期を経て、TSURUMIで泡プールやおもちゃの車で遊んだ。母親の可奈子さんは「幼稚園では必死だが、ここはがんばらなくていい。病院で命、ここで心を救ってもらった」と振り返る。
運営の変遷
2016年度の開設時は約60世帯の登録だったが、2022年度に居住地や通園条件を撤廃したことで利用者が急増し、2025年度には284世帯となった。公益社団法人「こどものホスピスプロジェクト」が運営し、寄付で成り立っている。
子どもたちの希望
国の調査(2024年度)によると、生命を脅かされる状態(LTC)の子どもたちの希望は「遠くに出かけたい」(43人)、「もっと友達と遊びたい」(42人)など。TSURUMIはこうした願いをかなえる場として機能している。
現在、同様の施設は横浜市の「うみとそらのおうち」と合わせて2か所のみ。今後も寄付に支えられた運営が続く。



