愛知県が2日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定において、県西部で液状化の危険性が広がり、被害が増加する自治体があることが明らかになった。県内の広い範囲で震度6強以上が想定され、さらなる防災対策が求められている。
海部地域の現状と課題
ほぼ全域が海抜ゼロメートル地帯である愛知県西部・海部地域では、理論上最大クラスの地震が発生した場合、前回調査よりも死者数が増える自治体が存在する。その主な要因は、液状化による川の堤防崩壊と、高齢化による逃げ遅れの増加である。住民の中には「浸水地域という認識が不足している」と危機感を訴える声もある。
津島市の被害想定
最悪の場合、津島市では1700人の死者が見込まれており、これは前回の1000人から大幅に増加している。死者の大半は、堤防崩壊による河川の氾濫や津波からの「逃げ遅れ」が原因とされている。
県は今回の調査で、液状化リスクの高いエリアと高齢化が進行する地域について、避難時の歩行速度を従来よりも遅く設定して死者数を試算した。その結果、逃げ遅れによる死亡者が増加する予測となった。津島市の高齢化率は昨年時点で31%に達している。
住民の声と対策
津島市を流れる日光川近くのマンションに住み、昨年は地域の自主防災会役員を務めた岸勲さん(65)は、「日光川沿いの浸水リスクはあまり知られていない」と指摘する。マンション周辺の海抜はマイナス1.5メートル前後だが、マンション自体はかさ上げ対策が施され、一時避難所として機能している。岸さんは「緊急地震速報などを確認したら、迅速に安全な場所へ避難する意識付けが必要だ。高齢者の避難をどう支援するかが重要になる」と訴える。
今後の防災対策
これまでの海部地域の震災対策は、建物の耐震化や津波対策が中心だった。津島市危機管理課の担当者は「日光川沿いなど短時間で浸水するエリアがあることを認識し、万が一の際は迅速に安全な場所へ逃げるよう呼びかけていきたい」と述べている。



