高市首相の「サナ活」が自民党を大勝に導くも、SNS人気の移ろいやすさに潜む危うさ
2026年2月7日午後3時51分、東京都文京区での街頭演説で高市早苗首相が話し始めると、聴衆が一斉にスマートフォンを向け、写真や動画の撮影を開始しました。この光景は、今回の衆院選で自民党が歴史的な大勝を収めた要因の一つである、SNSを活用した「推し活」の象徴的な瞬間でした。
個人人気が議席増に直結した高市内閣の支持率
投開票日に実施された朝日新聞の出口調査によると、高市内閣を「支持する」と答えた人のうち、比例区で自民党に投票したのは48%でした。この数字は、岸田政権下の2021年衆院選(52%)や石破政権下の2024年衆院選(45%)と大きな差はありません。しかし、大きく異なったのは内閣支持率の高さです。岸田内閣が62%、石破内閣が48%だったのに対し、高市内閣は75%に達し、内閣支持層が大幅に拡大していました。
内閣支持率は首相個人の人気を反映しやすい指標であり、高市氏の高い個人人気が自民党の議席増に直接つながったと言えます。憲政史上初の女性首相として、維新との連立政権をスタートさせた高市氏のカリスマ性が、有権者の心を捉えたのです。
SNSで拡散された「サナ活」の熱狂的な盛り上がり
選挙期間中、SNS上では高市氏の街頭演説を切り取った動画や笑顔の写真が、好意的なコメントやハッシュタグ「#高市早苗」「#サナ活」とともに大量に流れました。会場付近では、高市氏の写真入りビラを手にした制服姿の女子高校生の姿も見られ、若年層への浸透ぶりが窺えました。
さらに、高市首相が訪れた福岡11区の演説会場では、「さなちゃんがんばって」と書かれたノートが掲げられるなど、ファン的な支持の広がりが顕著でした。このような熱狂的な「推し活」が、自民党を圧勝に導く原動力となったのです。
組織力の弱体化と移ろいやすいSNS人気の危うさ
しかし、「サナ活」の盛り上がりは、組織に支えられてきた自民党の従来の強みを失わせかねない危うさも抱え込ませました。個人人気に依存する選挙戦略は、SNS上の人気が移ろいやすい性質を持つため、長期的な安定性に疑問が残ります。
高市内閣の支持率が75%と高い水準にある一方で、その支持が首相個人へのファン的な感情に傾斜している点は、政策本位の支持とは一線を画します。このような状況は、今後の政権運営において、世論の風向きが急変するリスクを内包していると言えるでしょう。
今後の課題と自民党の行方
自民党は、高市首相の個人人気を梃子に歴史的大勝を収めましたが、SNSを中心とした「推し活」に頼りすぎたことで、党の組織力が弱体化する可能性も指摘されています。従来の地盤や支持団体との関係再構築が急務となるでしょう。
また、高市首相の物価高対応など政策面での評価が、「ハネムーン」期間終了後に有権者の間で変化する可能性も予想されます。世論調査のタテ軸(時間的変化)とヨコ軸(他政党との比較)を注視しながら、政権の持続可能性が問われることになりそうです。
今回の衆院選は、SNS時代の新しい政治の形を象徴する選挙となりました。高市首相の「サナ活」がもたらした熱狂と、その背後に潜む危うさの両面から、今後の日本政治の行方が注目されます。