中道改革連合の衆院選大敗 南野教授が演説会場で垣間見た「内向きな姿勢」
立憲民主党と公明党が合流して結党された「中道改革連合」は、保守色の強い高市早苗政権に対抗する「中道の軸」となることを目指しました。しかし、解散総選挙では想定を超える大敗を喫し、政治勢力としての存在感を示すことができませんでした。なぜ、有権者の支持は広がらなかったのでしょうか。
福岡での演説会 歓声に包まれた共同代表の姿
衆院選公示から3日目となる2026年1月29日の夕方、福岡市早良区の百道中央公園では熱気に包まれた演説会が開催されました。「てっちゃーん」「野田さーん」という歓声がわき起こる中、斉藤鉄夫・前公明党代表と野田佳彦・前立憲民主党代表が中道改革連合の共同代表として初めて一緒に演説に立ちました。
この演説会の様子を、九州大学法学部の南野森教授(憲法)と記者が共同で取材しました。公園の向かい側には公明党の支持母体である創価学会の施設が立ち、集まった約2千人(陣営発表)の聴衆には年配層が多く見られました。手元には青色のプラカードや手作りのうちわを手にした人々の姿もありました。
演説内容にみられる政策の焦点
斉藤氏は演説で「もっとも大切なのは人間の幸せです。国家や経済の手段のために、人間があるのではない」と強調しました。さらに「非核三原則の堅持」を訴え、「戦争をしない、戦争に巻き込まれない。ここが今の与党と違う」と語り、聴衆は深くうなずいていました。
野田氏は「総理大臣の信任選挙ではありません。弱い人をつくらない社会を、ともに中道のうねりを」と呼びかけ、会場からは大きな歓声が上がりました。しかし、南野教授は演説内容について、非核三原則に言及したものの、残りは消費税の話が中心だったと指摘します。
南野教授が指摘する「内向きな姿勢」
南野教授は「目の前の政策だけでなく、政権の枠組みや安全保障法制の話なども聞きたかった」と評しました。また、最寄り駅から徒歩15分かかる会場の立地や「公明党支持者向けの雰囲気」が強かったことから、「内向きな姿勢」も気になると語っています。
このような要素が、中道改革連合の支持基盤を広げる上での障壁となった可能性があります。演説会場では熱心な支持者の声が響いていましたが、有権者全体に訴えかけるメッセージとしては限定的だったとの見方も浮かび上がります。
衆院選結果から読み解く民意
中道改革連合の大敗は、単に選挙戦術の問題だけではなく、有権者が求める政治の方向性と党のアピールにずれがあったことを示唆しています。南野教授と記者が演説会場を歩きながら考えたのは、選挙結果からどのような民意が読み解けるかという点です。
非核三原則や消費税といった具体的な政策は重要ですが、それだけでは政権選択の対立軸として十分ではなかったかもしれません。政治の大きな枠組みや将来ビジョンについての議論が不足していたことが、支持拡大の妨げとなった側面も考えられます。
中道改革連合は、保守色の強い政権に対抗する新たな選択肢として誕生しました。しかし、その理念や政策が有権者にどのように受け止められたのか、今後の政治勢力再編を考える上で重要な課題を投げかけています。