選挙終了後に撤去されるポスター掲示板、再利用の動きが各地で広がる
真冬に行われた衆議院選挙が終了し、街角に設置されていた選挙ポスターの掲示板が次々と撤去されている。これらの大量の掲示板を単に処分するのはもったいないとして、別の用途で活用する自治体が増加している。この取り組みが今後どのように広がっていくのか、注目が集まっている。
宮崎市立江平小学校での活用事例
宮崎市立江平小学校の家庭科準備室を訪れると、机の脇に置かれた木製の本棚が目に入る。高さ約70センチのこの本棚には教員のファイルが整然と並べられているが、よく見ると棚の奥の背板部分に「市長」という文字と届け出番号が確認できる。これは同小学校が以前の市長選挙で使用された掲示板を加工して作成したものである。
宮崎市は木製掲示板の再利用に積極的に取り組んでいる。市立学校の用務員が子どもたちの靴箱や本棚の材料として掲示板を活用したことをきっかけに、市選挙管理委員会が「他の部署でも利用できるのではないか」と着目。2023年の統一地方選挙から、再利用を希望する部署への提供を開始した。
学校以外にも、地域行事の会場設営資材などとしての引き合いは多く、現在では提供枚数が不足するほど需要が高まっている。江平小学校では校内用の掲示板としても活用しており、三輪正憲校長(58歳)は「資材高騰で備品も高価になっているため、掲示板の提供は大変助かっています」と語っている。
各地の自治体における多様な再利用方法
選挙掲示板の素材は、ベニヤ板を貼り合わせた合板や再生紙、アルミなど多岐にわたる。総務省によると、選挙後の処理については公職選挙法に具体的な規定はなく、各自治体が独自に対応している。
再生紙の掲示板を使用している山口市では、業者が回収後にリサイクル処理を施し、別の選挙の掲示板として再利用している。東京都武蔵野市では昨年夏、都議会議員選挙と参議院議員選挙で使用された掲示板の角材部分を小学校や高校に初めて提供し、授業や文化祭で活用された。福岡県大牟田市も、要望があれば学校や個人への提供を行っている。
一方、今回の衆議院選挙で再生紙などで作られた掲示板を1830枚設置した福岡市は、業者回収後の使い道については特に定めておらず、「処分方法は業者に任せている」と市選挙管理委員会は説明している。
環境と経済に優しい持続可能な取り組み
宮崎市は、衆議院選挙と1月の市長選挙、市議会議員補欠選挙の三つの選挙で使用した1800枚以上の掲示板についても再利用を予定している。市選挙管理委員会の児玉哲夫次長は「処分費用が浮くだけでなく、環境にも優しく、引き取り手にも喜ばれる。今後も息長く続けていきたい」と語り、この取り組みの持続可能性に期待を寄せている。
選挙掲示板の再利用は、廃棄物削減による環境負荷軽減と、自治体の経費削減という二つのメリットをもたらしている。このような実践が全国に広がることで、選挙活動のサステナビリティが高まることが期待される。