松江の堀川でアカミミガメ駆除、5年で1万匹超捕獲
松江市の市民団体「まつえワニの会」(遠藤修一代表)が、国宝・松江城を囲む堀川や市内の川に生息する特定外来生物「アカミミガメ」の駆除に奔走している。捕獲数は過去5年で1万匹を超え、今年は少なくとも2000匹を見込む。アカミミガメは繁殖力が強く、ニホンイシガメなど在来種の生息環境を脅かしており、同会は「美しい松江の自然環境を守りたい」と駆除に汗を流している。
捕獲現場の様子
25日早朝、代表の遠藤さん(79)と会員の小草一政さん(75)が分厚い手袋をはめ、堀川に仕掛けた直径約1メートルの箱わなを引き上げた。中には最大20センチほどのカメ8匹がかかっており、すべてアカミミガメだった。遠藤さんは「今日もよく入ったな」とつぶやきながら額の汗を拭った。
アカミミガメの特徴と影響
北米原産のヌマガメ科に分類されるアカミミガメは、目の後ろにある赤い模様が最大の特徴だ。食欲旺盛で藻類や魚介類のほか、同じカメ類の卵も食べるという。遠藤さんは2020年まで約13年間、堀川遊覧船の船頭を務め、アカミミガメの増加に危機感を覚え、船頭退任後に仲間とワニの会を発足。米国ではアカミミガメの天敵がワニであることから名付けた。
駆除活動の経緯
島根県の委託を受け、2021年に駆除活動を本格化。産卵シーズンの5~8月、週に3回ほど堀川や松江市内の朝酌川、天神川などに箱わなを仕掛ける。例年は8個だったわなを今年は16個に増やした。
在来種への脅威
アカミミガメは在来種の生息環境の悪化を引き起こしている。絶滅の恐れがある県内の生物をまとめた「しまねレッドデータブック」では、日本固有種のニホンイシガメが「準絶滅危惧」に分類された。県自然環境課は「アカミミガメに卵や個体を食べられ個体数が減っているのではないか」と指摘する。
陸上への影響も
アカミミガメの影響は水中だけにとどまらない。松江藩の初代藩主・堀尾吉晴公が約400年前に創建した寺院「普門院」では、十数年前から境内に卵を産み付けられる被害が続いている。同院の関係者は「茶室近くの大切なコケも荒らされ、非常に恐ろしい存在。早くゼロになってほしい」と訴える。
課題と今後の展望
ワニの会に対する県の委託費用は年間数十万円。中心メンバーは全員70歳を超えており、遠藤さんは「体力的にも限界にきている」と後継者育成の必要性を強調する。同会は年内にもクラウドファンディングで後継者育成や駆除活動の資金を募る予定で、「美しい松江の街を子どもたちにつなぐために、今できることに心血を注ぎたい」と支援を呼びかけている。
アカミミガメの基礎情報
アカミミガメは元々、米国南部からメキシコ北東部のミシシッピ川流域に生息。1950年代にペットとして幼体(ミドリガメ)が大量に輸入されたが、飼い主の都合で川や池に捨てられた個体が野生化し、全国的に繁殖した。流れが緩やかで水草が豊富な川や湖沼を好み、オスは最大約20センチ、メスは約30センチまで成長する。環境省は2016年時点で国内に約800万匹が生息すると推計。2023年には外来生物法に基づき、野外への放出や販売・輸入を禁止する「条件付特定外来生物」に指定された。



