愛知県西尾市の河川敷緑地公園で5月27日、特定技能の在留資格などで転入が増えているイスラム教徒(ムスリム)のインドネシア人らが、初めて市の使用許可を得て集団礼拝を行った。3月にあった別の集団礼拝ではインターネット上で公園の適正な使用か疑問視する声が上がり、市が指導に乗り出していた。宗教や生活習慣の異なる外国人住民と地域住民の共生は、各地で課題となっている。
許可を得た集団礼拝の実施
市の許可を得て、市管理の公園「矢作川西尾緑地」で開かれたのは、イスラム教の祭り「イドゥル・アドハ(犠牲祭)」の集団礼拝。市内を流れる矢作川近くのモスク「西尾ダールッサラームマスジド」が4月2日、大勢が集まれる広い場所として市に使用許可を申請し、15日に受けた。モスクは2016年に設立されたが、許可を求めたのは初めて。
申請の背景
申請のきっかけは、モスクが3月21日に同じ緑地で開いたラマダン(断食月)明けを祝う祭り「イドゥル・フィトリ」だった。その様子を映した動画がX(旧ツイッター)に投稿されると集団礼拝での使用を疑問視するコメントが殺到。騒動を把握した市がモスク側に使用の許可申請など必要な手続きを指導していた。
当日の様子と遵守事項
5月27日の集団礼拝は午前6時半ごろに始まり、30分ほど続いた。市公園緑地課の職員が現地で、県条例に定められた騒音基準85デシベルを超えていないことを確認。イスラム教圏では犠牲祭で屠ったウシやヤギの肉を分け合うとされるが、日本で認められない食肉処理行為はなかった。周辺での駐車違反もなく、大見真治課長は取材に「法律に抵触する行為は一切なく、すべてルールを守って行われた」と話した。
指導者のコメント
指導者のアハマド・ファウザン・ダウレイさんは「私たちは公共の場で行事を開く際は常に自治体と連携を図り、全てのルールを順守する。常に平和と平穏、親切さを保つことを約束する」と述べた。
西尾市の外国人住民の現状
自動車関連メーカーが多い西尾市は年々外国人住民が増え、4月現在で市人口の7・7%にあたる1万3046人に上る。このうちインドネシア人は1268人で、21年比で倍増した。
他地域の事例
自治体が管理する公園での宗教行事を巡っては、千葉県市川市でも、市内のモスクが5月27日の犠牲祭に向けて公園の使用許可を申請。市は地域との交流イベントでの使用を認める一方、集団礼拝は認めなかった。市公園緑地課によると、モスク側は長年にわたり許可を得て公園で集団礼拝をしてきたが、住民から「遊具が使えない」などの声が寄せられた。
福岡市では昨年6月、イスラム教徒が市公園の許可された範囲を超えて集団礼拝で使い、市から指導を受けた。市によると外国人の増加に伴い、モスク側も参加人数を予測しづらくなっているという。
文化的に異なる外国人住民が多く暮らす地域の実情に迫る連載「ホーミー」を再開します。



