高市政権が戦略分野の一つに定めるなど、造船業界に注目が集まる中、三重県四日市市富双の造船所「鈴木造船」は増産にかじを切った。クレーン新設などの投資により、現在年4、5隻の建造ペースを1隻分引き上げることを目指す。昨年10月に「Niwa Holdings(ニワホールディングス)」(大阪)の傘下に入り、資本力で大きな後ろ盾を得た。村上直人社長(60)は「2034年には売り上げ100億円を達成したい」と意気込みを語る。
鈴木造船の強み
鈴木造船の強みは、千トン未満の小型タンカーと、高速船と呼ばれるアルミ船が主力であることだ。タンカーは国内を運航する内航船がメインとなっている。自社で設計部門を持っており、小さい造船所ながら設計から建造までワンストップでできる点が強みだと村上社長は説明する。
業界の好調と需要
高市政権が成長分野の一つに定めていることもあり、業界は好調だ。船は建造から25~30年で寿命を迎えるため、今はちょうど入れ替え期に当たり、造船の需要は極めて高い。鈴木造船も既に2030年まで注文がいっぱいだが、「もっと早く船を造れないか」という問い合わせが来ているという。
生産能力増強の方法
敷地の問題で船台を増やすことはできないため、海上でも船の内装工事ができるよう、大型クレーンや艤装岸壁を新設する。また、修繕業務で鳥羽ドック(鳥羽市)と提携し、効率化を図ることで船台の回転率を高め、現状年4、5隻の建造ペースを1隻分増やしたい。さらに、アルミ船用の船台の屋根を延ばし、40メートル級のアルミ船が建造できるようにする計画だ。
ニワホールディングス傘下入りの意義
昨年10月にニワホールディングスの傘下に入ったことについて、村上社長は「1社だけでは資本的に限界がある。造船所はどうしても大きな資産を持ち、投資が必要になる。この業界の中で成長していこうと思うと、より大きな資本の下、いろいろなシナジーを得た上で成長する戦略を考えるのが得策だと考え、ニワホールディングスのグループになった」と語る。また、「賛同する造船所があればグループに取り込んでいきたい」と今後の展望も示した。
今後の目標
村上社長は「何かあった時には鈴木造船に相談しよう」となる会社になりたいと述べる。人工知能(AI)やロボットなど新しい技術も取り入れ、大きい船の受注も目指したいとし、2034年に売上高100億円が目標だと力強く語った。



