三重の地銀が若者向け金融教育を強化 貯蓄から投資へ、低金利時代の資産形成と詐欺防止
三重の地銀が若者向け金融教育強化 投資と詐欺防止に注力

三重の地銀が若者向け金融教育を強化 低金利時代の資産形成と詐欺防止

三重県内の地方銀行が、学生や顧客を対象とした金融教育プログラムを積極的に展開している。政府が推進する「貯蓄から投資へ」の政策方針や、2022年度から高校で金融教育が必修化されたことを背景に、教育現場からの依頼が増加傾向にある。金融リテラシーの向上と、深刻化する投資詐欺の防止を目的として、各銀行は出前講座や専門セミナーを活発に開催している。

預金だけでは増えない時代 具体的な事例で理解促す

「銀行に100万円を預けて200万円にするには、現在の預金金利では約360年かかります。皆さんはこの数字をどう受け止めますか?」。3月中旬、三重県四日市市の県立四日市工業高校で実施された金融講座で、百五銀行リテールコンサルティング部の矢野尚美さん(60)が生徒たちに問いかけた。約280人の1年生が参加したこの講座では、金利の仕組みや家計管理について具体例を交えて丁寧に説明が行われた。

矢野さんは「預金だけではお金を増やすことが難しい現代の経済環境において、資産の2~3割を手元に確保しつつ、残りを『お金に働いてもらう』という発想で運用することが重要です」と強調。低金利時代における資産形成の基本的な考え方を分かりやすく提示した。

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投資詐欺の危険性にも言及 一人で判断しない重要性

講座の後半では、若年層を中心に被害が多発している金融トラブルについても詳しく解説された。矢野さんは「絶対にもうかる金融商品など存在しません」と断言し、「投資詐欺の被害に遭う人の多くは、自分一人だけで判断して行動してしまう傾向があります。必ず信頼できる人に相談する習慣を身につけてください」と警鐘を鳴らした。

同校の笹峰一真教諭(37)は「現代社会では電子決済が普及し、支払いが手軽になった反面、お金が減っていく実感を持ちにくくなっています。社会人として自立した際に、給料管理で困難に直面する可能性があるため、早期からの金融教育が極めて重要です」と述べ、金融リテラシー教育の必要性を強く認識していることを明らかにした。

教育現場のニーズ高まる 専門家による指導が効果的

百五銀行によれば、高校での金融教育必修化に加え、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、様々な金融契約が可能になった若者に対する教育需要が急増している。同銀行が実施する出前講座は小学校から大学まで幅広い対象をカバーしており、昨年度下半期の開催校数は約15校と、前年同期の約2倍に達したという。

三重県教育委員会高校教育課の担当者は「金融に関する専門的な内容を教員だけで教えることは難しい面があります。プロの金融機関から直接指導を受けることができるのは大変ありがたいことです。教育現場では、地域の金融機関と連携して金融教育に取り組む機運が高まっています」と語った。

顧客獲得にもつながる 地域金融機関の社会的役割

三十三銀行では、顧客向けの資産運用セミナーを重点的に開催しており、昨年度は月に1回のペースで実施してきた。担当者は「学校側からもセミナー開催の要請が寄せられています。今後どのように対応していくか、慎重に検討を進めています」と述べた。

三重県内の金融機関が金融教育に注力する背景には、将来的な顧客獲得を見据えた戦略的な意図もある。地銀関係者は「これらの活動を通じて、将来的な顧客層の開拓につなげたいと考えています」と明かす。投資や資産形成への関心が高まれば、中長期的な金融商品の販売拡大が期待できるためだ。

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百五銀行の矢野さんは「過去のセミナー参加者から『もっと早くにこのような知識を教えてもらえていたら、人生の選択が変わっていたかもしれない』という声をいただくことがあります」と語り、「地域の金融機関として、専門的な知識を若い世代に伝え、自分自身の力で人生設計ができるよう支援していきたいと考えています」と決意を新たにしている。