浜岡原発データ不正問題、内部通報を社内調査で見逃す
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の再稼働審査を巡る基準地震動(揺れの最大想定)のデータ不正問題で、中部電力が数年前に内部通報を受けながら、社内調査では不正を見抜くことができず、発覚が遅れていたことが関係者への取材で明らかになった。この問題は昨年12月、外部通報を受けた原子力規制委員会(規制委)の調査をきっかけに判明したが、内部通報は規制委が外部通報を受ける前に既に寄せられていた。
社内調査の不備が浮き彫りに
関係者によると、中部電力内では数年前、基準地震動を巡る不正に関連する内部通報があり、社内調査が実施された。その際、会社側は原子力部門の関係者への聞き取りを行ったが、担当部門の関係者は不正はないとの趣旨の説明をしたという。結果として、会社側は調査で不正を発見することができなかった。この経緯から、中部電力社内の調査体制が適切に機能しなかった可能性が指摘されている。
問題発覚を受けて中部電力が設置した第三者委員会や、中部電力本店に立ち入り検査を実施した規制委も、内部通報に対する中部電力の対応が十分だったのか、その経緯を詳細に調べる方針を示している。規制委の山中伸介委員長は10日の記者会見で、「現時点で(内部通報の)事実については認識していないが、当然検査の中で調べることになる」と述べ、調査の徹底を強調した。
規制委の調査で不正が明らかに
規制委は中部電力に内部通報があった後の昨年2月に外部通報を受け、データが不正操作されている可能性を把握。同年5月に不正の可能性を中部電力に指摘し、10月には基準地震動のデータを作成した業務委託先の報告書などの資料提示を求めた。
中部電力はこうした規制委の調査を契機に、昨年12月に原子力土建部の一部社員が不正に関わっていた疑いがあることを確認。今年1月には、複数算出した地震動の波形の中から平均値に近い波ではないものを意図的に選定し、過小評価していた疑いがあると公表した。
再稼働審査に深刻な影響
浜岡原発は東日本大震災後、政府の要請を受け2011年5月に全基が停止。中部電力は2014年に4号機、2015年に3号機の再稼働を申請していた。しかし、不正の発覚を受け、規制委は再稼働審査を白紙とする方針を明らかにしており、審査再開のめどが立たない状況が続いている。
中部電力は取材に対し、「第三者委の調査に差し支える可能性等があるため、事実の有無も含めて回答は差し控える」とコメントし、詳細な説明を控えている。この問題は、原子力施設の安全審査における透明性と信頼性に重大な疑問を投げかけるものとなっている。