モバイルバッテリー発火防止へ、半固体電解質採用の動き加速
モバイルバッテリー発火防止、半固体電解質採用加速

モバイルバッテリーの電解質を燃えにくい素材に置き換える動きが広がっている。スマートフォンやタブレット端末の充電に欠かせないガジェットとして普及する一方、発火事故が相次いでおり、メーカー各社は安全性の向上に乗り出した。従来品より価格は割高になるが、安全面での優位性をアピールしている。

発火事故の現状と半固体電解質のメリット

モバイルバッテリーの多くはリチウムイオン電池で、リチウムイオンの移動を利用して充放電する仕組みだ。通り道となる電解質には可燃性の液体が用いられており、製造時の不具合や落下による損傷でショートが発生すると、電解液から可燃性ガスが発生し発火する恐れがある。

総務省消防庁によると、リチウムイオン電池が出火原因となった火災は昨年全国で1297件発生し、このうちモバイルバッテリーが約4割(482件)を占めた。列車内や航空機内でも発火事故が相次ぎ、国土交通省は今年4月、航空機内での使用を禁止した。

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こうした背景から、メーカー各社は燃えにくい半固体の電解質を用いたリチウムイオン電池の採用を進めている。特にゲル状の電解質は可燃性成分が揮発しにくく、発火リスクを抑えられるという。

主要メーカーの取り組み

新興メーカーのCIO(大阪府守口市)は昨年12月から自社のモバイルバッテリーを順次半固体型に切り替えており、今年9月までに完了する方針だ。国内シェア首位のエレコムも3月に半固体型製品を発売し、充放電回数から電池寿命を推測し買い替えや点検の目安をランプで知らせる機能も導入した。

各社の半固体タイプのモバイルバッテリー価格は従来品の約1.3倍と高めで、価格面が普及の課題となっている。国内2位の中国企業の日本法人「アンカー・ジャパン」は半固体型を発売しておらず、従来の電池で安全性を高める方針だ。

CIOの決断:自主回収の苦い経験から

半固体型への切り替えをいち早く行ったのは、スマホやパソコン周辺機器を手がけるCIOだ。昨年1月、自社製モバイルバッテリーが発火し、自主回収を迫られた苦い経験がきっかけとなった。けが人はなく火災にも至らなかったが、リチウムイオン電池の仕入れ先である中国企業の製造過程に不備が見つかり、約2万個を自主回収した。

中橋翔大社長は即座に全製品を半固体型に切り替える決断をした。「割安な従来製品と併存させると、そちらに流れる人が一定存在し、半固体型が普及しない」と考えたという。CIOは2015年創業の新興ながら、シンプルなデザインが評価されネット通販を中心に支持を広げている。中橋社長は「モバイルバッテリーは必需品となりつつあり、より高い安全性を追求する必要がある。生産技術の進化と量産効果で価格は下げられるはずだ」と話している。

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