養老孟司氏とAIアバターが東京工科大の客員教授に就任、人間らしい会話を再現
解剖学者として知られる養老孟司氏(88)と、養老氏の姿や声を模した人工知能(AI)アバターが、2026年3月に東京工科大学(東京都八王子市)の客員教授に就任した。この画期的な取り組みは、AI技術の先端研究を超え、AIアバター教員ならではの教育課題の探求を目指すものだ。
「AI養老先生」の開発経緯と特徴
共同開発を手掛けたNTTデータによると、「AI養老先生」は養老氏の著書や動画データを基に、そのパーソナリティーや話し方を学習して構築された。開発には、養老氏が代表理事を務めるメタバース推進協議会と東京大学も参加し、多角的な協力体制が築かれた。
プロジェクトは2024年1月、養老氏やAI専門家らによる鼎談で構想が持ち上がり、昨年10月の大阪・関西万博で初めて一般公開された。現在は、事前に想定された質問にのみ回答可能な状態だが、NTTデータの担当者は「多様な質問に対応してほしいという声も寄せられる。適正な利用に向けた技術要件を見極めるためにも、実践的な活用が重要だ」と説明する。
人間らしさを追求したAIの会話表現
AI養老先生は、再現度を高めるため、言葉に詰まったり、会話の間が空いたりするよう設計されている。例えば、AIと人間の違いを問われると、「人間はもっと自由に考えられるんだよね」と返答し、機械的な応答ではなく、自然な対話を目指している。
東京工科大の担当者は「この取り組みは、単なる技術的な実験に留まらない。AIアバター教員として、教育現場での新たな役割や課題を探求し、未来の学びの形を模索したい」と語る。大学側は、AIを活用した教育方法の革新や、学生との対話を通じた倫理的議論の深化を期待している。
養老氏自身も、AIアバターの就任について前向きな姿勢を示しており、伝統的な教育と先端技術の融合が、社会にどのような影響を与えるか注目が集まっている。今後は、授業や講演での活用が計画され、AIの教育的可能性がさらに広がりそうだ。



