グーグルは、生成AI(人工知能)を活用した検索機能に関して、新たな方針転換を迫られている。同社は、AI検索への掲載や引用を拒否できる機能を英国で試験運用を開始した。報道機関などが自社のコンテンツの利用状況を確認できる仕組みも提供する。将来的には日本を含む世界各国で展開する予定だ。
AI検索へのシフトと課題
グーグルは従来のキーワード検索から、AIを用いた会話形式の検索へと主軸を移している。検索結果の最上部に生成AIで表示する要約機能は、月間利用者数が25億人を超えるまでに成長した。2024年1~3月期の検索回数は過去最大を記録し、検索結果に表示される広告収入も増加傾向にある。
しかし、こうしたAI要約サービスは、利用者が要約内容に満足して元のサイトを訪問しなくなる「ゼロクリック問題」を引き起こし、報道機関などのコンテンツ制作者に深刻な影響を与えてきた。AIが記事の内容を無断で利用し、トラフィックを奪う行為は「ただ乗り」として批判を浴びている。
グーグルの対応と今後の展開
グーグルは2023年から、AI検索に関するガイドラインの見直しを進めてきた。今回の引用拒否機能の試験導入は、こうした批判に対応するための措置と見られる。英国での試験運用を経て、効果を検証した上で、日本を含む他国への展開を検討する方針だ。
また、グーグルは報道機関に対し、AI検索での利用状況を可視化するダッシュボードを提供する予定で、これによりメディア側も自社コンテンツの利用実態を把握できるようになる。業界からは評価する声がある一方、さらなる規制強化を求める動きも続いている。
業界の反応と規制の行方
AI検索を巡っては、朝日新聞や日本経済新聞などがグーグルに対し、無断利用の停止を求める声明を発表している。また、EU(欧州連合)はグーグルのAIモードについて、報道記事などを対価なく利用している疑いで調査を開始した。日本でも新聞協会が「優越的地位の濫用」に当たるとの見解を示している。
グーグルの今回の譲歩は、こうした国際的な規制圧力を回避する狙いがあるとみられる。しかし、完全な解決には至っておらず、今後の法規制の動向や、他のAI検索サービスへの影響が注目される。



