フジテレビが、従来の放送中心から、配信や映画、知的財産ビジネスまでを包括する「コンテンツカンパニー」への転換を加速させている。その中核として期待されるのが、一連の不祥事を受けた改革で誕生した「コンテンツ投資戦略局」だ。番組制作の現場はどのように変化したのか。同局投資戦略センターの加藤正臣室長が、その実態を明かした。
編成局からコンテンツ投資戦略局へ
コンテンツ投資戦略局は、かつてテレビ局の司令塔とされた編成局が解体・再編されて発足した。加藤室長は「『投資』という名称から、業界外の方からは『企業買収をする部署ですか?』と聞かれることもあるが、そうではない」と説明する。従来の番組編成機能を維持しつつ、コンテンツをいかに効率的に視聴者やユーザーに届けるかを追求する組織だという。
企画段階から出口戦略を考慮
以前はドラマ制作といえば地上波の連続ドラマが中心だった。しかし現在は、企画立案の段階から他部局と連携し、自社配信サービス「FOD」での先行配信や、Netflixなどの外部プラットフォームへの販売など、多様な展開を視野に入れる。「どうすれば作品の認知度を高め、収益性を向上できるかという出口戦略を最初から考える。例えばドラマ『教場』の映画版は、前編をNetflixで配信し、後編を劇場公開した」と加藤室長は具体例を挙げる。
従来はコンテンツを制作し、まず放送してから「売れるかも」「映画化できるかも」と考えるのが一般的だった。しかし現在は、制作開始時点から販売方法を検討するという、働き方の根本的な変化が起きている。
組織改革への現場の反応
一連の問題後、フジテレビは大規模な組織改編を実施した。加藤室長は「5月に新しい企業理念が発表された。自戒と反省を繰り返し、どうすれば新たなフジテレビを認めてもらえるか、自分たちの強みは何かを何度も考えた。前を向いて改革を進めたい」と語る。
「地上波起点」から「コンテンツ起点」へ
清水賢治社長は「地上波起点」から「コンテンツ起点」への発想転換を掲げる。その具体例として、今年10月から始まる新たな取り組みが挙げられる。フジテレビは今後、放送だけでなく、多様なメディアやプラットフォームを横断したコンテンツ戦略をさらに強化する方針だ。この改革は、視聴者や広告主のニーズの変化に対応し、持続可能なビジネスモデルを構築するための重要な一歩と位置づけられている。
加藤室長は「コンテンツ投資戦略局は、単なる編成の枠を超え、投資の視点からコンテンツの価値を最大化する役割を担う。今後も新しい挑戦を続けていく」と強調した。



