日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を控える大阪市で2026年5月24日、ギャンブル依存症対策を考えるセミナーが開かれた。若者へのオンライン賭博の広がりも問題となる中、予防教育の拡大や府市の依存症対策への姿勢改善を求める声が上がった。
セミナーの概要と参加者
公益社団法人・ギャンブル依存症問題を考える会と一般社団法人・ギャンブル依存症家族の会大阪が共催し、約400人が参加した。セミナーでは、考える会・予防教育部の村上美絵さんが講演し、昨年の家族相談会参加者(463人)に行ったアンケート結果を紹介。ギャンブル依存症の当事者が大学・大学院に在学中の割合が6.5%に上り、過去7年で最も高かったことを明らかにした。
若者への影響と予防教育の重要性
村上さんは、借金問題や人間関係のトラブルで自殺する人もいるとして、「日本の未来を担う世代の損失だ」と訴えた。大和大学(吹田市)の田野瀬良太郎総長(元衆院議員)も登壇し、昨年に4年生を中心に1千人超の学生に依存症教育を行ったことを報告。今後は1年生や学生の親にも依存症への理解を広げたい考えを示した。
考える会の田中紀子代表は、大学入学後に時間ができたり心の空虚さを感じたりして一気にギャンブルにのめり込む学生が多いとして、「予防教育は中学生ぐらいから必要だ」と述べた。
大阪依存症対策センターの計画と課題
IRを誘致した府市がギャンブル依存症対策の目玉として2029年度に開く「大阪依存症対策センター(仮称)」も議題となった。この施設は依存症の医療相談や情報発信などを担い、今年度に場所や規模など概要をまとめた基本計画を作る予定だ。
一方、府市が1月に公開した違法ギャンブル問題の啓発動画は、制作過程で依存症の専門家が関与していなかった。「依存症は病気なのに解決策が精神論、根性論になっている」などと批判が相次ぎ、1週間後に公開を一時停止する事態となった。田中代表はこの問題を踏まえ、センターを設計する段階から依存症の支援団体の声を取り入れる重要性を強調した。



