アパグループ創業者・元谷外志雄氏が82歳で死去 一代でホテルチェーンを築く
アパ創業者・元谷外志雄氏死去 一代でホテルチェーン築く

アパグループ創業者・元谷外志雄氏が82歳で死去 一代でホテル帝国を築く

国内最大級のホテルチェーンを展開するアパグループの創業者で会長を務めていた元谷外志雄(もとや・としお)氏が2月11日、死去した。82歳だった。同社が2月13日、自社ウェブサイトで発表した。葬儀は近親者で営まれ、後日、お別れの会が開かれる予定となっている。

金融から不動産、ホテル事業へと拡大した一代の歩み

元谷氏は石川県小松市で生まれ、小松信用金庫(現はくさん信金)で金融や不動産取引の基礎を学んだ。27歳で独立し、1971年に同市でアパグループの前身となる住宅分譲会社「信金開発」を起業。注文住宅から賃貸・分譲マンションへと事業を拡大させ、1980年にはアパホテルを設立した。4年がかりで準備を重ね、1984年に金沢市に1号店となるホテルを開業。これが後の巨大ホテルチェーンの礎となった。

大きな帽子姿で知られ、アパホテル社長を務める妻の芙美子氏と二人三脚で事業を推し進めた。温泉旅館のように客室に折り鶴を置き、300室以上のホテルには大浴場を設置するなど、独自のおもてなしに力を注いだ点が特徴的だ。

積極的な拡大戦略と53年連続黒字の堅実経営

2010年には客室数を増加させ、東京都心でトップを取る戦略を開始。2015年からは地方中核都市へと戦略エリアを広げ、横浜市や大阪市に2千室を超える大型タワーホテルの出店を進めた。さらに2016年には世界戦略元年を打ち出し、カナダに本社を置くホテルチェーンを買収。北米市場への攻勢もかけた。

同グループは2025年9月3日時点で、フランチャイズや建設・設計中、海外などを含めて385ホテル、8万6895室のネットワークを構築。純利益は2024年11月期まで53年連続で黒字を続けるという堅実な経営を実現している。

社会的な話題とコロナ禍での対応

一方で、2017年には日中戦争中の旧日本軍が多数の中国人を殺害した南京事件を否定する自身の著書をホテルの客室に置き、批判を浴びたこともあった。また、国内で2020年から本格化したコロナ禍では、自社のホテルを無症状者と軽症者を受け入れる宿泊療養施設として、いち早く名乗りを上げるなど、社会課題への対応も示した。

創業50周年の翌年となる2022年には会長に就任し、長男の一志氏をグループ社長兼最高経営責任者(CEO)に据え、経営の世代交代を図っていた。一代で築き上げたホテル帝国は、新たなリーダーの下でさらなる発展を目指すことになる。