最後の拍手に込めた感謝と笑顔 最期まで人を楽しませた友の生き様
最後の拍手に込めた感謝と笑顔 最期まで人を楽しませた友

最後の拍手

学生時代の友人の訃報を知り、自宅にお参りに行った。彼は人を楽しませることで自分も楽しむという生き方を貫き、家族にも職場でも愛されていた。しかし1年半前、突然の病魔に襲われ、その後は闘病生活を余儀なくされた。そして最後の2カ月はホスピスで過ごした。

死を覚悟した彼の終活

死を覚悟した彼は全ての終活を終えた後、数分のビデオを作製し、葬儀の時に見てほしいと家族に言い残し、この世を去った。ビデオには子供の頃から今までの節目の写真が映され、1枚1枚に感謝の気持ちがつづられていた。最後の写真は亡くなる2週間前のもので、彼の息子さんと近い将来一緒になる彼女を招いて、身内だけでのお披露目の会の集合写真だった。病床の中、彼はこの会を企画し司会進行役もこなした。若いカップルを囲んだ皆の笑顔の中に彼の穏やかな笑顔もあった。近々行われる自分の葬儀で彼女の居場所を作ってあげるための会だったのかもしれない。

ビデオに残された最後のマジック

ビデオの最後は、人を楽しませるのが好きだった彼らしい趣味のマジックをしているときの動画で、集まった同僚たちの前で一番の持ちネタのマジックを披露し、あっと驚かせた後、みんなから一斉に拍手喝采を浴びたところでビデオは終わる。ほほ笑んだ遺影の前で聞いた最後の拍手は、手際よく見事に終活をなし終えた彼への拍手に聞こえた。

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伊藤衛(68) 広島市南区

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