愛知県が2日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、県東部の東三河地方で津波による犠牲者を減らす対策が進み、被害想定が緩和された地域もある。県内は広い範囲で震度6強以上が想定され、さらなる防災対策が問われる。
田原市の取り組み
太平洋に突き出す渥美半島に位置することから、前回の被害予測が甚大だった愛知県田原市。堤防整備などの対策が進み、津波の高さや死者数などの予測は前回より和らいだが、住民や災害担当課は警戒の手を緩めない。
渥美半島の先端に近い田原市堀切地区で市が2018年に新設した津波避難施設「ほりきり広場」について、堀切自治会長の木邨幸和さん(53)は「とっさの時の安心感はある」と話す。海岸から700メートルほど離れた海抜5メートル地点に盛り土され、高さ10メートルの円状の頂上には480人が避難可能。地元住民からは「命山」と呼ばれる。
今回の被害予測で、田原市の最大津波高は20・2メートルと0・8メートル低くなったが、最短到達時間は変わらず6分のまま。津波が到達すると瞬時に堆積物が増える恐れもあり、木邨さんは「孤立が心配」とも口にした。
整備を進めた結果、想定される市内の死者は前回より200人減ったが、依然700人に上る。市防災対策課の担当者は「甚大な被害という受け止めは変わらず、これまで通り迅速な避難を呼びかける」と語る。
豊橋市の対策
最大津波高が18・5メートルと予測される豊橋市では、渥美半島の付け根に位置する同市神野新田町などの三河湾沿いに県が17年、高さ約6・5メートル、全長約5・2キロの堤防を整備した。強度を確保するため、内部に鋼矢板を2列設置する工法が採用された。
市は前回の想定公表後、海沿いの3地区に緊急避難場所となる津波防災センターを新設し、民間の高層建築などを指定する津波避難ビルを新たに9カ所追加した。市防災危機管理課の河合優課長は「防災リーダー養成や防災訓練などによって市民の意識向上は図られてきているが、予測データを詳細に分析してさらなる啓発に努めたい」と語る。



