中部地方の交通の要衝として発展してきたJR名古屋駅が、今月で開業から140年を迎えた。名古屋駅周辺では現在、リニア中央新幹線の開業に向けた再開発が活発に進められている。現在の駅舎は4代目で、高層ビル群の中心に位置する。
初代駅舎から現在まで
名古屋駅は1886年5月1日、「名護屋」の駅名で現在地より南の笹島地区に開業した。これは東海道線の建設資材を運んだ県内初の鉄道・武豊線の開業から2か月後のことだった。文明開化の時代、湿地帯に建てられた木造平屋の同駅は「笹島ステンション」とも呼ばれた。初代駅舎は1891年の濃尾地震で倒壊。その後、2代目駅舎が手狭になり、名古屋で博覧会が開かれた1937年に現在地に移転した。地上5階(一部6階)、地下1階の重厚感ある3代目駅舎は「東洋一」の規模と称され、名古屋大空襲からの復興を経て、半世紀以上にわたって親しまれた。超高層ビルがそびえる現在の駅舎は1999年にオープンし、1日平均乗降客数は約44万2000人(2025年度)に上り、外国人観光客も増加している。
鉄道ファンが語る思い出
名古屋駅近くで生まれ育った交通ライターの徳田耕一さん(73)にとって、駅周辺は遊び場だった。土手から列車に手を振ると応えてくれる機関士も多く、それがきっかけで鉄道ファンになった。小学生から列車の写真を本格的に撮り始め、駅構内の銭湯で乗客らとの会話を楽しんだ。1964年に東海道新幹線が開業すると、親戚にせがんで乗せてもらったという。「悠久の歴史を持つすごく親しみのある駅。昔の駅舎の記憶がよみがえってくる」と語る徳田さんは、名古屋駅の今昔をつづった著書『大名古屋の鉄道140年のあゆみ』(交通新聞社)を3月に出版し、撮りためた写真も多く盛り込んだ。同駅地下ではリニア駅の工事が進んでおり、徳田さんは「リニア開業で名古屋が暫定的な終点になれば、さらに駅に人が集まる。140年を節目に躍進する新しい22世紀の名古屋駅になってほしい」と期待を寄せている。
140周年記念グッズも好評
開業140周年を記念し、JR東海は歴史を紹介するパネルを構内に飾り、駅ゆかりの鉄道用品のオークション販売を実施。JR東海リテイリング・プラスは、駅舎や駅を出入りした往年の名列車のグッズを製作した。3代目の駅舎をアクリルスタンドにし、シンボルだった正面壁面の大時計も再現。列車と駅名標のクリアファイル、キーホルダーは売り切れるほど好評だ。グッズ製作を担当する山田雄大さん(40)と人事部担当部長の服部幸司さん(41)は、往時の写真や社史などをたどり、細部も当時に似せた。「記憶の中にある駅や車両に思いをはせ、今と昔を比べるなどして楽しんでほしい」と話している。グッズは同社公式ECサイトで販売中。



