和歌山市立博物館では、日本遺産に認定された景勝地・和歌の浦の近代における変遷をテーマにした企画展「うつりかわる和歌の浦」を開催中です。会期は6月21日までとなっています。
展示内容の見どころ
本企画展では、和歌の浦周辺で古くから行われてきた和歌祭の様子を描いた絵巻物や屏風など、江戸時代後期から昭和にかけての資料、合計89点が展示されています。これらの資料を通じて、和歌の浦がどのように変化してきたかをたどることができます。
和歌祭の歴史と中断
和歌祭は江戸時代から続く伝統行事ですが、その歴史の中で中断された時期がありました。1938年には日中戦争の影響で戦時体制が強化されたことにより中止に。しかし翌1939年には、地元の有志が市内の百貨店で祭具を披露する展覧会を企画しました。展示されている当時のチラシには「紀州が誇る郷土風俗」などの文言が確認でき、当時の熱意が伝わります。
同館の松井萌学芸員(31)は「明治維新や戦争などを理由に和歌祭の伝統は何度か途絶えたが、和歌の浦の人々が復活させてきた。江戸時代からみんなの手でつながれてきたお祭りであることが伝わる資料」と解説しています。
珍しいエレベーターの描写
画家・堀田象雲が明治から大正時代に描いたとされる「和歌浦図屏風」には、なんとエレベーターが描かれています。和歌の浦を一望できる奠供山の麓には、夏目漱石らも訪れた旅館「望海楼」があり、1910年に観光用エレベーターが設置されました。しかし、第一次世界大戦による鉄価格の高騰を受け、1916年に解体されたといいます。わずか数年しか見られなかったこの風景を伝える絵はがきには「東洋第一エレベータ」と記されています。
来館情報
松井学芸員は「和歌の浦の近代までの変遷を絵画や文献を通じて比較し、学ぶことができる」と来館を呼びかけています。入館料は一般100円、高校生以下は無料。6日と20日の午後2時からは学芸員による展示解説も行われます。月曜日は休館。問い合わせは同館(073-423-0003)まで。



