国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に日本が推薦している「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)について、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が「登録」を勧告したことが、文化庁の発表で明らかになった。この勧告は、飛鳥・藤原の宮都が持つ歴史的価値を国際的に認めるものであり、今後の世界遺産登録に向けた大きな一歩となる。
飛鳥・藤原の宮都の構成資産と歴史的意義
「飛鳥・藤原の宮都」は、飛鳥時代(6世紀末~8世紀初頭)に日本で初めて中央集権体制が確立される過程を示す遺跡群である。この資産は、政治や儀式の場として後代に影響を与えた飛鳥宮跡や藤原宮跡、極彩色壁画で知られる高松塚古墳やキトラ古墳、巨石を用いた石室が特徴の石舞台古墳など、19件の構成資産から成る。これらの遺跡は、中国大陸や朝鮮半島から伝わった外来文化と日本固有の伝統との融合を如実に示しており、古代日本の形成過程を理解する上で極めて重要な証拠となっている。
イコモスの評価と今後の展望
イコモスは勧告の中で、飛鳥・藤原の宮都を「東アジアにおける古代都市の形成過程の重要な証拠」と高く評価した。この評価は、同遺跡が単に日本の歴史にとどまらず、東アジア全体の古代文明の理解に寄与するものであることを示している。7月19日から韓国・釜山で開催されるユネスコ世界遺産委員会において、正式な登録が決定される見通しだ。
世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会の専門委員を務める田辺征夫・元興寺文化財研究所長(81)は、「『日本人の心のふるさと』として親しまれてきた飛鳥・藤原が、東アジアの歴史においても重要であることが認められ、大きな意義がある」とコメントし、今回の勧告の重要性を強調した。飛鳥・藤原の宮都の世界遺産登録が実現すれば、日本の古代史を象徴する遺産が国際的に認知されることとなり、地域の文化振興や観光促進にも寄与することが期待される。



