柏井壽氏の新著『ほんとうの京都』が古都の知られざる魅力を58の視点で解き明かす
歴史学者で国際日本文化研究センター名誉教授の倉本一宏氏が、柏井壽氏の新著『ほんとうの京都 古都をめぐる知られざる58の視点』(SB新書)を高く評価する書評を寄せた。倉本氏は、自身の京都での15年間の経験を振り返りながら、この本が単なる観光ガイドではなく、歴史と生活に根ざした深い京都論であると強調している。
倉本一宏氏の京都体験と本書への共感
倉本氏は約20年前、突然の京都赴任に周囲が心配する中で古都での生活を始めた。しかし、実際には京都の人々の親切さに触れ、勤務の合間に史跡や寺社を訪ね、飲食店を巡るなど、気持ちのよい日々を過ごしたという。このような体験から、本書が練達の案内人による本格的な京都案内であることに深く共感を示している。
58のエピソードが織りなす京都の深層
本書では58のエピソードを通じて、京都の多面的な魅力が語られている。倉本氏は、これらの話が蘊蓄に富み、虚実を織り交ぜた歴史と伝統への愛情が溢れていると指摘。特に感銘を受けた章として、「路地と辻子」、「きつねとたぬき」、「黄昏酒礼賛」の3つを挙げ、著者の食と酒への並々ならぬ熱情にも触れている。
表層を超えた京都論の意義
倉本氏は、多くの京都本が表層的なガイドブックや個人的な好悪に偏りがちな中で、本書は歴史的根拠と生活実感に基づく稀有な作品だと評する。著者・柏井壽氏の深い洞察と愛情が、読者に古都の真の姿を伝える力となっている。倉本氏自身も「次はこの本を持って京都を歩きたい」と結び、読書体験の豊かさを伝えている。
本書は1100円で販売されており、京都の文化と歴史に興味を持つ読者にとって、貴重な一冊となるだろう。倉本一宏氏は1958年生まれの歴史学者で、日本古代史や古記録学を専門とし、NHK大河ドラマ「光る君へ」の時代考証も担当した実績を持つ。