惣十郎浮世始末第278回:お粂の過去と一家離散の真相
木内昇による連載小説「惣十郎浮世始末」の第278回が公開された。本回では、お粂という人物の過去が詳細に語られ、物語に新たな展開が加わっている。
父親の酒乱と右目の怪我
弓浜の語りによれば、お粂は十四、五歳の頃、父親の使い込みを帳簿で発見し、問い詰めたという。父親は酒に酔った状態で帰宅したところを詰め寄られ、カッとなって近くにあった煙管を手に取り、お粂の顔を殴った。運悪く、その一撃はこめかみから目に滑り、右目が開かなくなってしまった。
惣十郎はこの話を聞き、「なるほど、あの目は実家にいたときからか」と理解を示す。お粂の父親には酒乱の気があったとされ、見世の売り上げも酒に注ぎ込んだのではないかと噂されていた。
一家離散とその後の経緯
怪我の後、父親は自分の行為を深く悔い、様子がおかしくなったという。ある日、お粂を医者に診せると言い出し、ふらりと出ていったまま、二人とも帰ってこなかった。見世は息子たちが一時的に切り盛りしたが、父親が作った借財を返しきれず、閉めることになった。
弓浜の父はお粂のことを忘れていたようだが、叔父は山背家に養子に入った後も密かにお粂の行方を探り続けていた。まるで取り憑かれたように探していたと語られている。
物語の深みと今後の展開
このエピソードは、お粂の容赦ない舌鋒や理路整然とした性格の背景を浮き彫りにしている。父親との確執が、彼女の人生に深い影を落としたことが窺える。
連載は今後、お粂の行方や叔父の探求がどのように物語に絡んでくるかが注目される。惣十郎の関与も含め、新たな伏線が張られた形だ。
「惣十郎浮世始末」は歴史小説としての深みを増し、読者の興味を引きつけている。次回の更新が待たれるところである。



