大相撲夏場所は14日目を終え、優勝争いが異例の大混戦となっている。大関霧島が伯乃富士に敗れて3敗目を喫し、11勝目を挙げた小結若隆景が首位に並んだ。さらに、義ノ富士、伯乃富士ら4敗の5人にも優勝の可能性が残り、千秋楽を前に7人が優勝を狙える位置につけた。これは横綱白鵬ら8人がひしめいた2015年夏場所以来の混戦模様だ。
若隆景、完璧な相撲で首位浮上
若隆景は東の花道奥で待機中に、義ノ富士が4敗目を喫するのを聞いた。この時点で3敗は自身と琴栄峰の2人。勝てば結びに控える霧島に1差で迫れる状況だった。立ち合いから圧倒的な強さを見せ、左からの張り差しをものともせず、わずか2秒足らずで押し出した。会心の内容に、本人は「しっかり集中して土俵に上がりました。下から速い相撲を取っていけた」と淡々と語った。
土俵下から見つめた九重審判長(元大関千代大海)は「エンジン全開というか、寄せ付けない集中力。小細工は通用しない」と絶賛した。若隆景は先場所に休場した右ひじにサポーター、かつて大けがを負った右ひざにテーピングを施しながらも、準備を怠らずに臨んでいる。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)は「まだまだ体が完璧ではない」と語るが、その中で今できることに徹している。
霧島は敗れ、優勝争いは混戦に
霧島は立ち合いで左を差し、上手もつかんで胸を合わせ、伯乃富士を土俵際に寄り立てたが、あと一歩で仕留めきれなかった。上手が伸びきって力が伝わらず、低い姿勢で耐えた相手に逆襲され、寄り倒された。支度部屋では取材に応じず、険しい表情で花道を後にした。単独トップだった霧島の敗戦で、優勝争いは大混戦に突入。2横綱2大関が休場する中で場所を引っ張ってきた30歳の大関は、2連覇をかけて千秋楽に臨む。
若隆景、大関昇進への起点
若隆景はこの勝利で、大関昇進の目安とされる「直近3場所を三役で33勝」に向けて起点を作った。首位に並び、自身2度目の優勝も見える位置につけた。支度部屋で報道陣に囲まれているときに霧島の敗戦を知り、「また明日、一生懸命相撲を取ります」と一言。千秋楽にどんな結末を迎えるのか、賜杯の行方は見えない。
新関脇の熱海富士や新入幕の若ノ勝は勝ち越し、東前頭筆頭の藤ノ川は負け越した。夏場所の醍醐味は、染め抜きビュースポットにもあり、入場券不要の敷地外からも楽しめる。



