福島第1原発事故、帰還困難区域の森林整備が本格始動へ
福島第1原発事故、帰還困難区域の森林整備始動

東京電力福島第1原発事故により帰還困難区域に指定された地域の森林整備が、本年度から本格的に開始される。事故から15年にわたり放置されてきたこれらの森林では、土砂流出を防ぐ機能の低下などが懸念されている。国と県は、今後の特定帰還居住区域における避難指示解除を見据え、適切な整備を通じて住民が帰還する場所の安全を確保する必要がある。

帰還困難区域の森林の現状

本県の帰還困難区域は、浜通りの7市町村に設定されており、その大部分が森林である。国は1月に、帰還困難区域などに関する森林作業のガイドライン(運用指針)を発表し、再生に向けた方針を示した。4月にはいわき市に「福島森林再生センター」を設置するなど、実施体制の構築を進めている。

放射線量の調査結果

国は昨年度、本格的な森林整備に先立ち、帰還困難区域の森林状況を調査した。その結果、ガイドラインで特別な対応が求められる放射線量が毎時2.5マイクロシーベルト以上、土壌などの放射性セシウム濃度が1キロ当たり1万ベクレル以上の地点が、これまで避難指示が解除された地区の森林よりも多い割合で存在することが確認された。

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森林整備の実施体制

実際の森林整備は、地元の森林組合や企業などの林業事業者が担当する。今月開催された国、県、市町村、林業関係者の意見交換会では、作業者の安全確保が重要であるとの声が上がった。国はガイドラインで定められた対策の周知と導入支援に努め、事業者の不安解消や作業時の被ばく線量低減を図るべきである。

実証事業の拡大

帰還困難区域の森林に関しては、昨年度、国が浪江町津島地区の6か所で実証事業を実施したが、合計0.72ヘクタールの小規模なものにとどまった。本年度は実証事業の面積を合計10ヘクタールまで拡大し、より広い範囲での作業課題や、切り出した木材の運び出し方法などを確認する予定である。

優先順位とノウハウの蓄積

将来の森林整備は、帰還する住民の生活拠点に近く、安全確保の必要性が高い場所から優先的に実施される。国は、地形に応じて柔軟に林道整備や木々の伐採などに対応できるよう、実証事業を通じてノウハウを蓄積していくことが求められる。

国有林と民有林の一体的整備

帰還困難区域の森林の内訳は、国有林が約1万7000ヘクタール、民有林が約9000ヘクタールである。国有林は国、民有林は県が整備する。避難指示解除を目指す地区によっては、周囲に国有林と民有林が隣接していることも想定される。国と県は、地元市町村や住民の要望に耳を傾け、国有林と民有林を一体的に整備できるよう連携を強化することが重要である。

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