日本型雇用の変革期における企業賃上げの課題と展望 人事コンサルタントが提言
日本型雇用変革期の賃上げ課題 人事コンサルタントが提言

日本型雇用の変革期における企業賃上げの課題と展望

新卒採用競争が激化し、年功序列に代表される「日本型雇用」が大きく変わりつつある現代において、企業の賃上げ姿勢はどのようにあるべきでしょうか。特に初任給を含めた給与体系の見直しは、多くの企業が直面する重要な経営課題となっています。この問題について、人事コンサルティングを手がけるクレイア・コンサルティングの執行役員ディレクター、和田実氏(47)に詳しく伺いました。

初任給引き上げに伴う企業の悩み

和田氏によれば、大卒の新卒採用競争が非常に激化していることもあり、初任給を引き上げたいという企業からの相談は確実に増加しているとのことです。しかし、単純に初任給を引き上げるだけでは済まない複雑な問題が存在します。

「初任給を引き上げることに伴って、全体の賃金テーブルを引き上げると、会社にとっては大きなコストアップになります」と和田氏は指摘します。「コストアップを避けつつ、若手社員のモチベーション維持にもつながる改革ができないかと悩む企業は非常に多いのです」

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既存社員との給与逆転現象と中堅社員の不満

多くの企業では、初任給の引き上げによって既存社員の給与との「逆転現象」が起きないように、既存社員の給与も同時に上げる対応を取っています。しかし、初任給と同じ幅での引き上げは、賃上げ原資に余力のある企業でなければ難しいのが現実です。

和田氏は次のように説明します。「全体として、特に管理職手前の中堅世代は『これまで会社に貢献して実績を積んできたのに、新卒の給与ばかり大きく引き上げられるのはなぜか』と感じ、不満を抱きやすい環境になっています。給与改革が後手に回っている会社ほど、中堅社員が退職して困っているという話もよく耳にします」

効果的な対処法と制度改革の必要性

企業ごとに異なる状況に対応するためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。和田氏は以下のような具体的な解決策を提案しています。

まず、会社ごとの賃金配分可能な原資を考慮した戦略的アプローチが不可欠です。業界ごとの水準に加え、会社それぞれの中長期的な利益計画と人員構成に、賃金カーブをどう合わせていくかを議論し、最適な制度を作っていくことが求められます。

さらに、年功的な運用からの脱却も重要なポイントです。「同じ勤続年数なら処遇もほぼ同じという考え方ではなく、優秀な人材は昇格のスピードを早めるといったメリハリある評価の仕組みに変えていく必要があるでしょう」と和田氏は述べます。

シニア人材の処遇見直しと少子化への対応

日本企業には新卒主義が強い傾向がありますが、この点についても見直しが求められています。和田氏は次のように指摘します。「定年を迎えるとシニア世代の処遇を新卒に近い水準まで一律に下げる会社もあります。しかし、新卒の何倍も貢献するシニア人材も存在します」

少子化が進む中では、こうしたアンバランスな仕組みを見直すタイミングに来ているのではないかと和田氏は提言します。長期的な視点に立った人材戦略と給与体系の構築が、今後の日本企業の持続的な成長にとって極めて重要となるでしょう。

日本型雇用の変革期において、企業は単なる賃上げではなく、戦略的な給与体系の再構築を通じて、多様な世代の人材を適切に評価し、モチベーションを維持する仕組み作りが急務となっています。

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