文部科学省は、少子化が加速する現状を踏まえ、公立小中学校の統廃合を促進するため、自治体への働きかけを強める方針を固めた。特に、小学校と中学校がそれぞれ1校しかない市町村に対しては、近隣自治体との統合協議を積極的に促す。協議の結果によっては、学校が存在しない地域が増加する可能性も指摘されている。
文科省「手引」を初改訂、自治体間連携を強化
文部科学省は近く、2015年に策定した「公立小中学校の適正規模・適正配置に関する手引」を初めて改訂する。この改訂では、自治体の区域を越えた統廃合の検討方法などについて、新たな考え方を盛り込む。これまでの手引では、統廃合の基準として徒歩や自転車での通学を想定し、小学校で4キロ、中学校で6キロという通学距離の目安を自治体に示していたが、スクールバスの利用を前提に「おおむね1時間以内」という時間基準を追加した。
公立小中学校の減少と適正規模未満の学校の割合
2015年度に約3万校あった公立小中学校は、2024年度には約2400校減少。文部科学省が定める標準的な1校あたりの学級数(12~18学級)に満たない小学校の割合は45.1%から41.6%、中学校も50.3%から48.2%にそれぞれ減少した。しかし、専門家からは、この手引が統廃合を後押ししたとの指摘も出ている。
少子化と教員不足が背景に
5~14歳の人口(推計値)は、2025年の約968万人から2050年には約719万人と、約26%の大幅な減少が見込まれる。加えて、教員不足も深刻化していることから、文部科学省は2025年3月に学校統廃合について検討する有識者会議を発足。2026年3月のまとめでは、1小・1中のみの自治体について、近隣市町村と連携した統合協議を促すことなどを手引に盛り込むよう提言した。
財務省も統廃合方針の作成を要求
文部科学省は、この内容を含める形で手引を改訂する方針だ。具体的には、ある自治体の中学校を隣の自治体の中学に統合することなどが想定される。また、教育委員会だけでなく、首長部局と連携することで、福祉や防災といった教育以外の面についても考慮することを加える。文部科学省は「検討は促すが、判断するのは自治体なので、統廃合が進むかは分からない」との立場を示している。一方、財務省は2025年11月、小規模の学校が依然多いと指摘し、「統廃合を適切に行うことが必要不可欠」として、自治体が策定する学校施設の整備計画に統廃合方針を盛り込むよう求めており、今後各地で議論が進む可能性がある。
専門家の見解
名古屋大学大学院教授の内田良氏(教育社会学)は、小中学校の統廃合について、国、都道府県・政令市、市町村それぞれの立場を踏まえた理解が必要だと指摘する。公立校教員の給与は、国が3分の1を、都道府県・政令市が3分の2を負担しており、学校数が減れば人件費を削減できるため、統廃合が進む背景があると解説している。



