吉野山の桜を脅かす外来カミキリ、町がユニークな啓発Tシャツで対策強化
奈良県吉野町は、桜の名所として知られる吉野山で、特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」による被害が確認されたことを受け、2026年4月10日、成虫のイラストや「WANTED」(指名手配)の文字をあしらった啓発Tシャツを金峯山寺で披露しました。この取り組みは、観光業関係者や住民に着用を呼びかけ、早期発見と防除を促進することを目的としています。
深刻化する被害と町の迅速な対応
吉野山では、昨年10月にヤマザクラの古木が食害されているのが発見されて以降、計10本の桜や梅などバラ科の樹木で被害が確認されています。町はこれまで、薬剤注入や伐採などの対策を実施してきましたが、クビアカツヤカミキリは繁殖力が強く、被害の拡大を防ぐには、木を食い荒らす幼虫が排出するフラス(フンと木くず)や成虫の早期発見が不可欠です。
そこで町は、散策する観光客や地域住民に広く問題を知ってもらおうと、一目で特徴がわかる啓発Tシャツを約500枚制作しました。Tシャツのデザインは、背中を指名手配の貼り紙風にし、「体長約2~4cm」「胸が赤い」「幼虫は桜の木を食べて育つ」といった特徴を記載。さらに、桜保全のための寄付を呼びかける町のホームページにつながるQRコードも貼り付けられ、左胸には桜の花の小さなワッペンがあしらわれています。このデザインは、20歳代の町職員2人が担当し、若い感性を活かしたユニークな仕上がりとなりました。
地域一体となった保全活動の広がり
披露会が行われた金峯山寺蔵王堂には、住民や桜の保護に取り組む公益財団法人「吉野山保勝会」の関係者らが集まり、Tシャツの意義を共有しました。五條良知管長は「日本一の桜の名所が危機を迎えている」と訴え、中井章太町長は「この取り組みが全国に広がり、駆除につながれば」と願いを込めました。また、町職員や町立中学の生徒らも参加し、桜保全のための募金活動を実施し、地域全体で問題解決に取り組む姿勢を示しました。
この啓発Tシャツは、観光シーズンに合わせて配布され、吉野山を訪れる多くの人々に外来生物の脅威を伝える役割を果たす見込みです。町は今後も、監視活動や防除対策を強化し、貴重な桜の景観を次世代に引き継ぐための努力を続けていくとしています。



