愛知・大口町の給食センター移転先工場にカビ、新築より高額な改修費で再検討へ
愛知・大口町給食センター移転先工場カビで再検討

愛知県大口町が学校給食センターの移転先として取得した元弁当製造工場の内部にカビが繁殖していることが明らかになり、建物の骨組みを残して全面的な交換が必要な状態であることが判明した。必要経費は新築費用を上回る見通しで、建物に価値があるとして移転準備を進めてきた町は、改修・増築か新築かの再検討を迫られている。

現状の給食センターと移転の背景

現在の給食センターは1988年9月に完成し、町内の小学校3校と中学校1校に対し、計2400食分の給食を調理している。老朽化が進んでいる上、調理や洗浄スペースにはエアコンがなく、衛生面や熱中症のリスクが指摘されている。

このため町は移転先として、現在のセンターからほど近い元工場の建物と敷地、および隣接地を含む約3000平方メートルの土地の購入を決定。2024年9月の町議会で関連経費約1億8600万円を盛り込んだ補正予算案が可決された。

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基本設計で判明した深刻な衛生問題

その後、町は設計事務所に基本設計を委託。報告書では、元工場は「経年使用によって衛生環境がかなり悪く、躯体を残して全面改修が必要」「使用年数から設備は全面更新が必要」などと指摘。構造上の課題も挙げられ、増築も必要とされている。2025年2月の町と業者の打ち合わせ記録でも、「長年のカビ等が天井・壁に付着しているため使用できず、内装は全体的に衛生的とは言えないため利用不可」との発言が記録されている。

工場は2000年に完成し、2025年2月まで使用されていた。試算では、新築にかかる費用が約25億円(建物解体費を除く)であるのに対し、改修・増築は約29億7000万円。町によると、解体費用を含めても新築の方が安くなるという。担当者は「2024年11月にカビがあることは認識していたが、改修すれば問題ないと考えていた」と話している。

迅速な購入決定の経緯

元工場と土地を巡っては、2025年3月に町議会の全員協議会で取得に向けた交渉を開始することが報告された。町幹部によると、不動産情報の入手は同年の初めごろであり、かなりのスピード感で進められたことがうかがえる。

水野真澄副町長によると、2025年1月か2月ごろ、金融機関から町に対し、建物と土地を購入しそうな企業がいないかとの相談が寄せられた。町は当時、役場南側の土地での給食センター整備を検討していたが、地権者からの土地取得が難航していた。借り入れの場合、契約期間後に返還を求められると建物を解体する必要があった。

今回の土地は町の中央部に位置するため、全域への配送に好都合で、一定の広さがあり、すでに宅地として整備されていることから、速やかに建物を建設できるなどのメリットがあり、購入を決めたという。

水野副町長は「これだけまとまった土地が出ることはないだろうと思ったし、3000平方メートルというと中小企業の工場建設の需要もある。関心を持つ企業があるという情報も入っていた」と購入を急いだ経緯を説明した。

町は元工場と敷地を合わせて約1億5000万円と評価。売り主の希望に沿い、工場を所有する法人から1億200万円で、敷地を法人の代表取締役個人から4800万円で取得した。水野副町長は「トータルで1億5000万円なので金額として問題はない」と述べている。

今後の見通し

町は今後、改修・増築か新築かの選択肢について再検討を進める方針。新築の場合、解体費用を含めても改修より安価となる見通しで、今後の議論が注目される。

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