大型の台風6号は3日、和歌山県南部に上陸後、列島の南を東寄りに進みました。太平洋側では広く大雨となり、気象庁は一時、同県を流れる古座川にレベル5氾濫特別警報を出しました。5月に新たな防災気象情報が始まって以来、特別警報の発表は初めてです。
古座川町の対応と避難の実態
古座川町総務課によると、3日午前2時に気象庁から町内の古座川に、全員が危険な場所からの避難指示となるレベル4氾濫危険警報が出ました。レベル3までを飛ばしていきなりの発出でした。担当者は「驚いた面はある。河川の水位が急速に上がってしまったのかと推測している」と振り返ります。
その後は情報が事前に共有され、午前5時35分にレベル5特別警報が発せられました。
レベル4の時点で、町は午前3時前に663世帯1161人に避難指示を出しました。しかし、実際に避難所へ身を寄せたのは町全体で最大28人でした。担当者は「避難指示は避難所へ行ってもらうことを想定している。ただ、当時は雨風が強く、避難するかは町民の判断になった」と避難行動の難しさを語りました。
レベル5の特別警報後は、ただちに命を守る「緊急安全確保」を発表し、防災放送などで周知しました。担当者は、住民の建物2階などへの避難などを想定したと説明。今後の教訓として、安全確保の方法を広報紙などで啓発するなど「日ごろから適切な行動を啓発する必要がある」と話しました。
専門家の見解と制度の解説
今回初めて発令されたレベル5氾濫特別警報について、気象予報士で名古屋地方気象台の向井利明・土砂災害気象官は「100%災害が発生している情報」と指摘。道が川のように水であふれ、危なくて家から出られないことも考えられ、「2階へ上がるなど命を守る行動が必要な局面だ」と注意を呼び掛けます。
向井氏は、5月末から始まった新たな防災気象情報の制度設計に関わりました。新防災情報では、危険度に応じた5段階のレベルの数字を各情報に明記。河川氾濫の特別警報は、洪水警報が廃止された今回の改定に伴い新設されました。
レベル4危険警報は「危険な場所から全員避難」が必要とされ、自治体が発表する避難指示の目安になります。一方、レベル5特別警報は命の危険が差し迫り、直ちに安全確保が求められる最も危険な情報です。そのため発令後の避難が手遅れとも言われ、「避難の判断は必ずレベル4までに行わなければならない」と向井氏は解説しました。
住民へのアドバイス
向井氏は住民に対して、大雨が予想される場合は事前に近くの河川などをハザードマップで確認しておくことが大切だと強調。その上で「ニュース番組で警報などが出たら、地図上で今の危険度を確認できる気象庁の『洪水キキクル』、国土交通省の『水害リスクライン』のサイトも見て、避難判断をすることが大事」と訴えました。



