3日早朝、和歌山県南部に台風6号が上陸し、県南部を中心に記録的な大雨が降りました。新しい防災気象情報の運用開始後、初めて「レベル5氾濫特別警報」が発表された古座川が古座川町内で氾濫し、家屋の浸水被害が確認されました。複数の自治体で土砂崩れが発生し、強風で転倒した男性1人が負傷しました。
線状降水帯による記録的大雨
県内では短時間に大雨をもたらす線状降水帯が発生。3日午前6時までの24時間降水量は那智勝浦町で370ミリと、6月として観測史上1位を記録しました。県の観測では新宮市高田の累計雨量が576ミリに達しました。
県内を流れる太田川や古座川が氾濫。古座川が流れる古座川町は3日午前2時45分に流域の一部地区に避難指示を発令。同5時50分には約860世帯約1670人を対象にレベル5の緊急安全確保に引き上げましたが、避難者は約30人でした。
住民の声と避難の課題
高瀬地区では道路などが冠水。朝になって水につかった自宅周辺や車の片付けに追われていた女性(44)は「避難指示が出ているのは知っていたが、大丈夫だろうと思って油断した。次は早めに避難しようと思う」と語りました。
高齢者施設で働く男性職員は「午前3時頃には周辺の道路が冠水しており、1階の利用者には2階に上がってもらった」と垂直避難を振り返り、「避難の判断は難しい」と述べました。自営業の男性(55)は「お年寄りが多く、耳が遠い人や車いす、寝たきりの人がいる。電波が届かない場所もあり、携帯電話がない人はどうすればいいのか」と課題を挙げました。
下流域の串本町も午前5時、約750世帯約1150人に緊急安全確保を発令しましたが、避難者は町全体で約20人。避難しなかった男性(65)は「眠っていて気付かなかった」と話しました。
断水とインフラ被害
串本町の田並地区では田並川の増水に伴い、町道が約30メートルにわたって崩落。埋設された水道管も流され断水が発生し、最大約310世帯に影響しました。町は水道管の応急工事を進め、田並公民館前に給水車を派遣。多くの町民が訪れ、近所の女性(70)は「朝、トイレが流せなくて断水を知った。朝食もとれていない。ここに20年ほど住んでいるが、こんなことは初めて」と話しました。
宮崎知事は全国初の氾濫特別警報発表を受け、「今回の事例を検証し、迅速かつ適切な対応ができるよう、さらなる改善を図っていく」とコメントしました。
暴風警報と学校への影響
県内では一時、全域に暴風警報が発令されました。和歌山市消防局などによると、3日未明に同市有本で70代男性が強風で転倒し、救急搬送されました。県教育委員会によると、3日午前8時半時点で、県内の公立小中高校など387校のうち、橋本市や串本町などの41校が臨時休校し、那智勝浦町や古座川町、新宮市などの37校が自宅待機となりました。
新防災情報の利点と課題
台風6号は、5月29日に運用が始まった新たな防災気象情報の利点と課題を浮き彫りにしました。この情報では、最も危険度が高く安全確保が必要な警戒レベル5について、河川氾濫は「氾濫特別警報」、大雨は「大雨特別警報」などと特別警報の名称で統一されました。
串本町総務課の担当者は「気象台から事前にレベル5の情報を出す可能性があるとの連絡もあり、避難情報のレベルを引き上げる準備ができた。迅速に住民へ情報を伝えられたと思う」と評価する一方、新宮市防災対策課の担当者は「レベル3の高齢者等避難の段階で避難した住民がいる一方で、『まだレベル3』ととらえられ、夜間の避難に迫られたケースもあった。明るいうちに避難する重要性を強調していきたい」と課題を指摘しました。



