高知東部道死亡事故、被告は運転中に着替えを48回繰り返していた
2024年9月に高知東部自動車道で発生した乗用車正面衝突事故で、大阪市の神農煌瑛ちゃん(当時1歳)が死亡した事件の公判が、高知地裁(田中良武裁判長)で行われました。被告人質問が実施され、被告(61歳・無職)が事故以前から運転中に着替えを繰り返していた実態が明らかになりました。
運転支援装置作動中に着替え行為を月2~3回実施
被告は法廷で、事故車両に乗り始めてからの2年間にわたり、運転支援装置を作動させた状態で運転しながら着替えをしていたと証言しました。具体的には「ゴルフ場や練習へ行くときに上着やズボンを着替えたことがある」と述べ、その頻度は月平均2~3回、合計で48回程度に及んだと認めています。
一方で被告は、自動車メーカーから運転支援装置を過信しないように説明を受けていたことを認め、「全面的に信用していなかった」と陳述しました。被害者参加制度を利用した母親の彩乃さん(39歳)が着替えの理由を尋ねたところ、被告は「時間短縮のためだった。ずぼらだった」と答えています。
事故の経緯と危険運転致死傷罪の適用問題
起訴状によれば、事故は2024年9月21日午後に発生しました。被告は香南市夜須町の高知東部自動車道を運転中、靴を履き替えようとしてハンドルを右に切り、対向車線に進入。同車線を走行していた神農諭哉さん(34歳・自営業)の乗用車と正面衝突しました。
この事故で、神農さんの長男である煌瑛ちゃんが死亡し、神農さんらも重軽傷を負いました。被告は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)に問われていますが、より重い危険運転致死傷罪は適用されていません。
遺族の怒りと次回公判の見通し
公判後、神農さん夫妻は高知県庁で記者会見を開き、被告人質問の内容について強い憤りを表明しました。神農さんは「運転中にどうやって(ズボンを)履き替えるのかと思った。危険な運転なのに危険運転が適用されない。理不尽きわまりないと改めて感じた」と述べ、司法判断に対する疑問を投げかけました。
本件の次回公判は6月3日に予定されており、結審が見込まれています。事故の詳細な経緯と被告の危険運転の実態がさらに明らかになることが期待されます。
この事件は、運転支援技術への過信と、運転中のマルチタスク行為が引き起こす重大な結果を浮き彫りにしています。安全運転の基本である前方注視と適切なハンドル操作の重要性が改めて問われる事例となりました。



