広陵高校(広島市)硬式野球部における部員間の集団暴力事案について、調査を担当した第三者委員会の那須寛委員長(弁護士)は6月1日、広島市内で記者会見を開き、学校側の初動対応や記録管理の不備を厳しく批判した。2025年夏の全国高校野球選手権大会を途中辞退した同校の硬式野球部では、部員間で「集団的態様での暴力行為」があったと認定されている。
学校側の対応に問題点
那須委員長は、当初学校がこの事案をいじめではなく通常の生徒指導として扱い、被害を受けた元部員にも指導を行った点を問題視。さらに、問題発覚当初の聞き取り調査や報告資料を、学校側が「年度が替わった」「元部員が転校した」などの理由で廃棄していたことも明らかにした。
集団暴力の認定理由
第三者委の調査報告は、5月28日に公表され、「複数の上級生が関与する集団的態様での暴力行為や威圧的行為」を認定し、「重大な人権侵害」と評価した。那須委員長は、元部員の供述が具体的で、他生徒との会話の録音と整合する一方、上級生側の「短時間にそれぞれが別個に暴力を振るった」とする供述は「著しく不自然」と指摘した。
元監督の発言も問題に
報告書では、元監督の中井哲之氏が被害生徒に対し、暴行を高野連に報告すれば「対外試合に出られなくなる可能性がある」と発言したことも明記。那須委員長は、この発言が被害申告を抑制する圧力となったとし、「極めて不適切」と断じた。
- 被害生徒は昨年1月、寮でカップラーメンを食べたことを理由に複数の上級生から呼び出され、バットで殴るそぶりを含む威圧行為や有形力の行使を受けた。
- 翌日には集団的暴力が行われ、強い恐怖と精神的苦痛を与えられた。
- 被害生徒は深夜に寮を抜け出し実家に戻るなどし、最終的に転校に至った。
再発防止策の提言
第三者委は、本件が閉鎖的な指導体制や学校のいじめ対応機能不全によるものと分析。再発防止には、組織構造の見直しや元監督の関与排除が必要だと提言した。那須委員長は「甲子園出場という目標に向かうことは大切だが、ひずみが出ることもある。他の学校にも考えるきっかけにしてほしい」と述べた。



