東京都立高校入試の合否判定に活用されている中学3年生を対象とした「英語スピーキングテスト」について、保護者や学者ら17人が、同事業にかかる約5億円の費用を小池百合子都知事に支払わせるよう都に求めた住民訴訟の判決が、東京地裁で1日に言い渡された。裁判長は請求を棄却し、原告側は即日控訴する意向を示した。
テストの公平性を巡る争い
原告側は、2022年度に初めて実施されたこのテストについて、採点の公平性や透明性に欠け、受験生の個人情報の収集方法にも問題があるとして、違法性を主張していた。しかし、篠田賢治裁判長は判決理由で、テストは「英語教育の充実や改善に役立てる余地がまったくないとまでは認められない」と指摘。一定規模の事業では手続きの不備や不公正を完全に防ぐことは難しく、テストの目的を損なうほどの重大な事情は認められないとして、都側に裁量権の逸脱や乱用はなかったと判断した。また、個人情報の違法な取り扱いについても認めなかった。
原告側の反応と今後の方針
判決を受けて、都議会では同日、報告集会が開かれた。集会では、代理人の大島義則弁護士が訴訟の経過や判決内容を説明。当初、テスト導入契約などの違法性を訴え、公金支出の差し止めを求めていたことや、請求が棄却されたことを報告した。
原告の一人である大内裕和武蔵大教授は「不当判決だ。問題点は何も解決していない」と述べ、控訴する意向を明らかにした。さらに「高校入試への活用が中止されるまで頑張りたい」と語り、今後の活動継続への決意を示した。
テストの現状と課題
このテストは、都教育委員会が2022年度に導入したもので、本年度予算には各中学校で実施する1、2年生向けを含め、同事業に36億円が計上されている。運営事業者は2024年度から英国の公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」が担っているが、昨秋の試験では機器の不具合により91人が再試験対象となるなど、課題も指摘されている。
テストを巡っては、回答音声が他の生徒に聞こえる「音漏れ」問題や、受験しなかった生徒の評価が公平性に欠けるなどの指摘があり、都議や保護者らが入試への活用中止を求めている。



