政府は12日、刑事裁判の再審制度見直しに向けた刑事訴訟法改正案について、再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)を原則禁止とする規定を、刑訴法の本体である本則に明記する最終案を固めた。高裁と最高裁への抗告をいずれも厳格化する内容で、自民党は13日の部会で了承する方針だ。これを受け、政府は15日にも法案を閣議決定し、今国会に提出する見通しとなった。
検察抗告の原則禁止を本則に明記
複数の政府・与党関係者によると、法務省は従来の再修正案で検察抗告の原則禁止を法案の付則に盛り込んでいたが、自民党が本則への明記を求め調整が続いていた。当初は内閣法制局などが本則化に反対していたが、政府として受け入れた形だ。
即時抗告を認める本則規定を削除
現行の刑訴法本則には、再審開始決定に対する高裁への即時抗告を認める規定が存在する。最終案ではこの規定を削除し、新たな条文を設ける。新条文では、再審開始決定を取り消すべきと認めるに足りる「十分な根拠」がある場合に限り、即時抗告を認めると定めている。
最高裁への特別抗告も厳格化
さらに、再審開始決定に対する検察の即時抗告を棄却する決定などが出た場合についても、最高裁への特別抗告の要件を厳格化する。現行法では、憲法違反や判例違反がある場合に限り特別抗告が可能とされているが、新設する条文では、その決定を取り消すべきと認めるに足りる「十分な根拠」を要件として追加する。
政府関係者は「即時抗告、特別抗告のいずれも、現行法よりハードルが上がる」と説明している。
背景と経緯
もともと検察抗告の禁止は、法相の諮問機関である法制審議会の答申で見送られた。その理由は、地裁から最高裁までの三審で確定した有罪判決が、下級審の判断で見直されることになれば、法的安定性が失われるというものだった。法務省はこの答申を基に政府法案を作成したが、自民党内から抗告禁止を求める声が噴出。付則に原則禁止を盛り込む案を打ち出していた。
これに対し、抗告禁止を求める議員らは、本則で抗告を認めたままでは実効性が疑われるうえ、付則が将来削除される恐れもあると指摘。原則禁止を本則に引き上げ、即時抗告を認める規定を削除するよう求めていた。今回の最終案は、こうした主張を踏まえたものだ。
今後のスケジュール
自民党は13日の法務部会・司法制度調査会合同会議で最終案を了承する方針。政府は15日の閣議決定を経て、速やかに国会に提出する。今国会での成立を目指すが、与野党の議論が焦点となる。



